【獣医師監修】犬が吐く原因は?危険な症状や対処方法、予防法を解説

愛犬が突然吐いてしまったとき、「すぐ動物病院に行くべき?それとも様子を見ていい?」と不安になる飼い主さまは多いのではないでしょうか。
犬は人間より吐きやすい動物ですが、その原因は早食いのような軽いものから、誤飲・食中毒など命に関わるものまでさまざまです。
この記事では、吐いたものの色・回数・タイミングで危険度を見極めるチェックポイントと、吐いた直後の正しい対処方法、日常的な予防法をわかりやすく解説します。
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犬が吐く原因とは?

犬が吐く原因は、空腹やストレスといった比較的軽いものから、腫瘍や腎不全といった重い病気まで多岐にわたります。
ここでは代表的な原因を解説します。
<犬が吐く代表的な原因>
食べすぎ・早食い・空腹
犬が食後すぐに嘔吐する場合、多くは早食いや食べすぎが原因です。
急いで食べると食べ物と一緒に空気を大量に飲み込んでしまい、胃が刺激されて嘔吐につながります。
また、空腹の時間が長くなると、胃液に胆汁が混ざった黄色や緑色の液体を吐くことがあります。
異物の誤飲・中毒
異物の誤飲や中毒が原因で、犬が吐くことがあります。
異物の誤飲は、おもちゃや布などの異物を誤って口にしてしまい、胃や腸に詰まることです。
一方、中毒は、チョコレートやぶどう、レーズンなど、犬にとって有害な食べ物を口にしたことで、体に有害な反応が起きる状態のことで、どちらも嘔吐のほか神経症状や腎不全など重篤な症状が現れる場合があります。
感染症・食物アレルギー
犬が吐く原因には、感染症や食物アレルギーも考えられます。
パルボウイルスやアデノウイルスなどの感染症は激しい下痢や嘔吐を引き起こし、体力のない子犬にとっては特に危険です。
食物アレルギーが原因で吐く場合は、肉・卵・乳製品・穀類などが原因となることが多く、嘔吐や軟便といった消化器症状のほかに、皮膚のかゆみや発赤を伴うこともあります。
ストレス・乗り物酔い
ストレスや乗り物酔いも、犬が吐く原因になることがあります。
引っ越しや新しいペットを迎え入れたときなど、環境の変化や緊張が続くと嘔吐につながることがあります。
また、車酔いによって胃液を吐いてしまうケースも少なくありません。
胃拡張・胃捻転症候群(GDV)
胃拡張・胃捻転症候群によって、犬が吐いてしまうことがあります。
胃拡張は胃にガスがたまって膨らんだ状態、胃捻転は胃がねじれてしまった状態で、胃拡張に伴って胃捻転が起こることが多いため、まとめて胃拡張・胃捻転症候群(GDV)と呼ばれます。
体が大きく胸郭の発達したグレート・デーンやジャーマン・シェパードなどの大型犬で起こりやすく、急性の場合は拡張・捻転した胃がほかの臓器を圧迫してショック状態を引き起こすこともある、緊急性の高い疾患です。
吐きたそうにしているのに吐けない・ぐったりしている・お腹が張っているといった症状がみられます。
胃腸炎・膵炎・消化器疾患
犬が吐く原因の中には、胃腸炎や膵炎などの消化器疾患も考えられます。
急性膵炎では激しい嘔吐と食欲不振が典型的な症状です。
胃腸炎では嘔吐と同時に軟便や下痢が起こることも多く、慢性的な炎症がある場合は下痢や嘔吐が長期間続くこともあります。
腎臓病・糖尿病などの全身疾患
腎臓病や糖尿病といった全身疾患も、犬が吐く原因のひとつです。
腎臓病によって腎臓の機能が低下すると尿毒症という状態になり、嘔吐や食欲不振が起こります。
また、糖尿病では、体内にケトン体という有害物質が過剰に蓄積して血液が酸性に傾く「糖尿病性ケトアシドーシス」を発症することがあり、嘔吐や脱水を伴う重篤な状態を起こしかねません。
どちらも重症化するとけいれんや呼吸困難を起こし、命に関わることがあるため要注意です。
熱中症
熱中症も、犬が吐く原因になることがあります。
夏場の炎天下での運動や車内での留守など、体温が急激に上昇した際に嘔吐が起こることがあります。
一般的に、犬の体温は37.0~39.0℃くらいが平熱です。
体温が40℃を超えると熱中症が疑われ、嘔吐とともに口を大きく開けてハアハアする、ぐったりするといった症状がみられることがあります。
42℃を超えると多臓器に影響が出るほど危険な状態になるため、夏は特に注意が必要です。
すぐ動物病院へ!危険な嘔吐のサイン

犬の嘔吐は、緊急性が高くないものから早めの処置が必要なものまでさまざまです。
ここでは、緊急受診が必要なケースと様子を見てもよいケース、受診・様子見どちらの場合でも確認するべきポイントを解説します。
緊急受診が必要なケース
以下のいずれかに当てはまる場合は、すぐに動物病院で受診してください。
どのようなものを吐いたのか説明が難しい場合は、嘔吐物の写真を撮って見せると獣医師の診断に役立ちます。
| サイン | 補足 |
|---|---|
| 吐こうとしているのに吐き出せない | 胃拡張・胃捻転症候群の典型症状。緊急性が非常に高い |
| 血・異物が混じっている | 嘔吐物に赤色・赤黒い色が混じる、またはおもちゃの破片など異物が見られる |
| 何度も繰り返す・毎日吐く | 1日数回・複数日にわたって嘔吐が続く |
| 元気がない・ぐったりしている | 嘔吐に加えて、ぐったりする・水を飲もうとしない・震えるなどの症状が重なっている |
様子を見てもよいケース
緊急受診が必要なケースでのサインがみられず、また、以下の条件がそろっている場合は、しばらく自宅で経過観察してもよいでしょう。
<嘔吐しても様子見してみる条件>
- 嘔吐が1〜2回で収まっている
- 嘔吐後も元気があり、食欲がある
- 空腹や早食い、車酔いなど、思い当たる原因がある
ただし、症状が続く場合や不安を感じた場合は、迷わず動物病院で受診することをおすすめします。
受診・様子見どちらのケースでも確認するべきポイント
受診する場合も自宅で様子を見る場合も、以下のポイントを押さえておくとよいでしょう。
<犬が嘔吐したら確認するポイント>
- 嘔吐した回数、タイミング、最後に食事した時間や内容を記録する
- 嘔吐した後の様子
- 思い当たる誤飲や環境変化の有無を確認する
- 嘔吐物はすぐに片付けず、色・内容物・量を確認してから処理する
- できれば嘔吐物の写真を撮っておく
「嘔吐」と「吐出」の違いは?

犬が吐く場合、「嘔吐」と「吐出」の2種類があります。
見た目が似ていても原因や対処が異なるため、区別して理解することが大切です。
ここでは、それぞれの違いを解説します。
嘔吐とは、胃や十二指腸からの逆流によるもの
嘔吐とは、脳にある「嘔吐中枢」が何らかの原因によって刺激されることで、胃の内容物・胃液・胆汁などを吐き出すことです。
吐く前には、床のにおいを嗅ぎながらそわそわ歩き回ったり、よだれが多くなったり、口をぺちゃぺちゃさせるといった動作がみられることがあります。
吐出とは、食道の疾患・早食いによるもの
吐出とは、食べたものが胃に届く前に、未消化のまま吐き出すことです。
食後すぐに形のある食べ物を吐く場合は、嘔吐ではなく吐出の可能性があります。
主な原因は食道の疾患や早食いで、嘔吐とは区別して考える必要があります。
犬が吐いたときに確認すべきポイント

犬が吐いたとき、嘔吐物の色や内容を確認することで、原因や緊急性の有無をある程度判断できます。
ここでは、犬が吐いたものの色・内容別に確認すべきポイントを解説します。
透明・白い泡
透明または白い泡状の嘔吐物は、胃液のみである可能性が高いといえます。
空腹の時間が長い場合に起こりやすく、1回限りで嘔吐後も元気があれば様子を見てもよいでしょう。
黄色・緑色の液体
嘔吐物が黄色や緑色の液体の場合は、胃液に胆汁が混ざったものと考えられます。
空腹時間が長すぎる場合に起こりやすい嘔吐です。
未消化のフード・毛玉
形のある未消化のフードを吐いた場合は、嘔吐ではなく吐出の可能性があります。
また、毛玉を吐くことは猫に多くみられますが、犬でも起こることがあります。
特に換毛期は注意が必要です。
茶色・赤色(血が混じっている)
薄いピンク色から赤色の嘔吐物は、口の中か食道、気管支からの出血が混じっている可能性があります。
赤黒い色の場合は、胃潰瘍や消化管の腫瘍からの出血も疑われます。
いずれの場合も早急に動物病院で受診してください。
犬が吐いたときの対処方法

愛犬が吐いてしまったときは、まず落ち着いて次の対処を行いましょう。
吐いた直後はしばらく水・食事を控えてください。
胃腸を休ませることが大切です。
その後、水を少量ずつ与えてみて、問題なければ食事を再開します。
食事を再開する際は少量ずつ与え、ドライフードの場合はふやかして与えると消化の負担を軽減できます。
水を与えてもすぐに吐いてしまう場合や、嘔吐が続く場合は自己判断せず、動物病院で受診してください。
嘔吐を繰り返さないための予防法

犬の嘔吐は、日頃からの管理によって防げるものも多くあります。
ここでは、嘔吐を繰り返さないための予防法を解説します。
早食い防止
早食い防止用の食器を活用するのが効果的です。
また、1日の食事を複数回に分けて与えることで、一度に胃へかかる負担を軽減できます。
食後すぐの激しい運動は胃拡張・胃捻転症候群のリスクを高めるため、食後はしばらく安静にさせましょう。
異物誤飲や中毒の予防
チョコレート・ぶどう・レーズンなど、犬に有害な食べ物は犬の届かない場所に保管しましょう。
おもちゃや小物なども誤飲の原因になるため、遊んでいないときは片付けておくことが大切です。
ストレス・運動管理
前述のとおり、過度なストレスは嘔吐の原因になることがあります。
適度な運動と十分な休息のバランスを保ち、引っ越しや新しいペットを迎え入れるなど環境が大きく変わる際には、愛犬のストレスサインに注意して観察しましょう。
愛犬の嘔吐が続くなら動物病院へ相談をしよう
犬の嘔吐は、軽症から重篤まで原因が多岐にわたります。
吐いたものの色・回数・嘔吐後の様子を観察し、危険なサインを見逃さないことが大切です。
様子を見てよいケースもありますが、繰り返し吐く、元気がない、吐きたそうなのに吐けないなどのサインが出たら、早めに動物病院で受診しましょう。
よくある質問
Q. 犬が1日に何回吐いたら動物病院に行くべき?
目安として1日3回以上吐く、または吐く回数が少なくても元気がない、下痢や便に血が混じるなどの症状が重なる場合は受診をおすすめします。
子犬や高齢犬は成犬より体力の消耗が早いため、より早めの対応が必要です。
詳しくは、以下の項目をご参照ください。
Q. 草を食べて吐くのは問題ない?
草を食べて吐く行動は犬によくみられる行動で、1~2回で収まり嘔吐後も元気があれば基本的に問題ありません。
ただし、頻繁に繰り返す場合は消化器トラブルなども疑われるため、動物病院に相談しましょう。
そのほかのケースについては、以下の項目をご参照ください。
Q. 子犬・老犬が吐いた場合は特別な対応が必要?
子犬は吐く原因としてパルボウイルスなど感染症のリスクが高く、老犬は吐くことによる脱水や体力の消耗が深刻になりやすいため、成犬より早めに受診を検討することをおすすめします。
そのほかの原因については、以下の項目をご参照ください。
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