犬のくしゃみの症状・原因と止まらないときの対処法を獣医師が解説!
私たちがくしゃみをするときは、風邪などの軽い病気の場合が多いかもしれませんが、ワンちゃんのくしゃみには歯周病や腫瘍などが原因の場合があります。
放っておくと、どんどん進行してしまうような病気が潜んでいることもめずらしくありません。
くしゃみの原因を知り、対処できるようにしておきましょう。
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犬のくしゃみの特徴
くしゃみは、鼻の中に異物が入ったときや、鼻の粘膜に何らかの刺激があったときに反射的に起こる生理現象です。
ワンちゃんも人と同じように、鼻から空気をはき出すように「プシュン!」とくしゃみをします。
原因となる異物や刺激がなくなればすぐにおさまることが多いですが、ポリープや腫瘍、歯周病などの病気が原因の場合は、くしゃみが長期間続き、ほかの症状が出てくることもあります。
逆くしゃみとは
ワンちゃんの場合は、くしゃみとは反対に空気を鼻から連続的に吸い込む、「逆くしゃみ」がみられることもあります。
トイ・プードルやチワワなどの小型犬や短頭種で起こることが多く、突然「フガフガ」と鼻を鳴らしながら何度も空気を吸い込むような動作をします。
原因はあきらかになっていませんが、鼻の奥の粘膜への刺激がきっかけになると考えられています。
逆くしゃみをしている間は息苦しそうなので、はじめて見たときは何かの発作かと焦ってしまうかもしれませんが、たいていは数秒~数十秒でおさまることが多いです。
頻度があまりにも多い場合は、動物病院に相談しても良いかもしれません。
くしゃみと逆くしゃみの違い
くしゃみは吸った空気を鼻からはき出す動作、逆くしゃみは空気を鼻から連続的に吸い込む動作です。
くしゃみの場合は原因によって鼻水や咳などの症状が一緒にみられることもありますが、逆くしゃみではほかの症状が出ることは少ないです。
くしゃみなのか、逆くしゃみなのかを判断するのが難しい場合は、動画で状況を撮影し動物病院に相談しましょう。
犬のくしゃみの原因
鼻への刺激
ホコリや砂が鼻に入ると、それらを追い出そうとして反射的にくしゃみが出ます。
ワンちゃんはお散歩のときなど、においを嗅ぐことで情報収集を行うので、鼻に異物が入ってしまうことがよくあります。
また、急激な温度変化やにおいの強い香水なども鼻への刺激になるので、避けるようにしましょう。
風邪や病気
症状としてくしゃみがみられる病気は、歯周病、ウイルスや細菌の感染、鼻炎、鼻腔内のポリープや腫瘍、アレルギーなどさまざまです。
病気が原因となっている場合は、くしゃみが長期間続き、鼻水や咳が出る、涙や目ヤニが増える、いびきをかく、呼吸が苦しくなるなどの症状が出ることがあります。
カーミングシグナル
ワンちゃんはストレスを感じたときや緊張したときに、自分を落ち着かせるための「カーミングシグナル」という行動をとることがあります。
カーミングシグナルには、あくびをする、鼻先をなめる、視線をそらすといった行動があります。
ワンちゃんがストレスや緊張を感じる状況でくしゃみが出るときは、カーミングシグナルの一種かもしれません。
犬のくしゃみから考えられる病気は?
歯周病
中高齢のワンちゃんでは、歯周病が原因となってくしゃみが出ることも多いです。
特に上顎の犬歯は鼻に近い部分に歯の根っこがあるため、炎症が鼻の方にまで広がりやすいです。
くしゃみのほかに、膿の混じった鼻水が出る、口臭がきつくなる、歯や口の中の痛みから食欲が低下するなどの症状が出ることもあります。
進行すると全身麻酔をかけて歯石の除去や抜歯を行うことになりますので、定期的に健康診断を受けるよう心がけましょう。
ケンネルコフ
ワンちゃんに風邪のような症状を引き起こす感染症を、「犬伝染性気管気管支炎(通称ケンネルコフ)」と呼びます。
原因となるのは、犬アデノウイルスや犬パラインフルエンザウイルスで、主な症状は乾いた咳とくしゃみです。
細菌も同時に感染してしまうとドロドロとした鼻水が出て、元気や食欲がなくなることもあります。
子犬は免疫力が十分ではないため感染しやすく、重症化して肺炎に発展することもあるので、まずは混合ワクチンを受けて予防を行うことが大切です。
鼻炎
鼻腔内に炎症が起こると、鼻水やくしゃみが出たり、涙や目ヤニが増えたりします。
鼻炎の原因となるのは細菌、ウイルス、真菌(カビ)、アレルギー、鼻腔内異物、歯周病、腫瘍などさまざまです。
症状が軽い場合は、数抗生剤や消炎剤などを投与すると数日で改善がみられますが、鼻炎の原因によっては慢性化する場合もあります。
鼻水、くしゃみなど鼻炎の症状が出るときは、慢性化する前に早めに動物病院で検査を受けましょう。
鼻腔内異物
ホコリや砂など、異物を簡単に排出できればくしゃみは自然とおさまりますが、異物が詰まっている、ポリープや腫瘍ができているなどの場合は、くしゃみが長期間続くことがあります。
また、腫瘍が大きくなると鼻から出血し、顔の一部が変形してしまうこともあります。
鼻腔内腫瘍は目に見える場所にないため、発見が遅れてしまわないよう、気になる症状がある場合は早めに動物病院で検査を受けましょう。
アレルギー
花粉やハウスダストに対してアレルギーを持っていると、くしゃみやサラサラした鼻水が出ることがあります。
ワンちゃんの場合は皮膚のかゆみや、赤みも主な症状としてみられます。
通年、症状が出るようであればハウスダスト、季節によって症状が重くなったり軽くなったりするようであれば、花粉が原因かもしれません。
空気清浄機の使用や、お出かけの際には洋服を着せるなどの工夫をしましょう。
くしゃみが止まらないときの対処法
鼻に何らかの刺激があって反射的に出たくしゃみであれば、何日も続くことはありません。
くしゃみが長期間続く場合や、1日のうちに何度もくしゃみが出る、くしゃみ以外にも以下のような症状が出ている場合は、動物病院に相談しましょう。
まとめ
いかがでしたか?ワンちゃんのくしゃみの背景には、さまざまな病気が潜んでいます。
早期に治療を始めるためにも、たかがくしゃみと思って様子を見過ぎないように注意しましょう。
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