猫の平熱って何度?体温が高い・低い時の対処法とチェックの仕方!
私たち人間と同じように、猫にとっても体温は健康状態の指標になります。
猫の平熱や正しい体温測定の方法を知っておくことは、猫の健康管理に欠かせません。
本記事では、猫の体温測定のポイントや、注意が必要な猫の体温について獣医師が解説します。
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猫の平熱って何度?
猫の平熱は38〜39℃
猫は人間よりも平熱が1℃以上高く、38℃台が平熱とされています。
猫は中近東を発祥とした動物で、古くはシルクロードの道をたどり日本に渡ってきたと考えられています。
猫は砂漠型の動物といわれており、高温環境に適応する生体メカニズムを有しているため、寒さには弱い動物です。
人間同様に猫にも平熱を保つなど、生体リズムを正常に維持する「恒常性」という機能があり、よほどのことがない限り、体温が高低しないよう、一定に調節しています。
猫の体温に異常がある場合は、恒常性が保たれていない状態であるという認識が必要です。
バイタルサインとしても重要
バイタルサインというのは「体温・心拍数・呼吸数・血圧からなる生体活動の四指標」のことで、恒常性がしっかりと機能しているかを指し示しています。
生体活動を維持できているかを知るためにも、体温が平熱かどうかをチェックすることが重要といえます。
猫の体温を測定する方法とポイントは?
無理に体温測定することは禁物です。
嫌がる猫に何度も測定をくり返すと、そのストレスから体温が上昇してしまい、平熱の確認ができない場合があります。
検温する前に、まずは猫を落ち着かせてあげましょう。
猫の検温に使用する体温計は、動物用体温計を使用します。
動物用体温計は人間用の体温計よりも測定時間が短く、お尻で測定できるように作られているため用意しておくと安心です。
お尻から測る
お尻から検温するときは、猫を落ち着かせるためにおやつを食べさせながら行うことをおすすめします。
体温計に専用のプローブカバーやラップを巻き、オリーブオイルやワセリンなどの潤滑油を先端に塗ります。
次に、猫のしっぽを垂直に持ち上げて、肛門を目で確認し、体温計をゆっくり肛門に挿入します。
挿入は2cmぐらいで十分です。途中で嫌がった場合、焦らずに休憩しましょう。
猫が体温測定に恐怖心を持つと検温が困難になるため、優しく慎重に行うことが大切です。
検温が終わったあとは、たくさん褒めてあげましょう。
検温の結果を記録することもとても大切です。
スマートフォンや健康手帳に記入しておけば、日々の体調管理をよりスムーズに行うことができます。
耳から測る
体温計での測定以外でも、耳を触診することでおおよその体温を把握することができます。
触診のときは「少し温かい」と感じる温度を目安にしてください。
耳の根本は比較的、毛が生えにくく、嫌がる猫も少ないため、検温しやすい場所になります。
測定できない場合の対処法
何度か様子をうかがいながら試して「うちの子には難しいな。」と感じた場合は無理をせずに、動物病院に連れて行きましょう。
体温とあわせてチェックしておきたいポイント
体温が平熱かどうか以外にも、呼吸数や呼吸の仕方、食欲、元気の有無、排尿や排便の回数、震えなどはあわせてチェックしておきたいポイントです。
平熱でも病気の場合があるので、少しでも猫の様子がおかしいと感じたら動物病院に連れて行きましょう。
動物病院では、全身状態を把握するためのSAAという血液検査が可能です。
SAA検査は、猫の炎症マーカーとしてとても優秀な検査で、現在の炎症度が数値化されるので、猫の第二の体温計とも呼ばれています。
猫の体温が平熱よりも高い・低い場合に考えられる原因と対処法
猫が平熱かどうかを知ることは重要なポイントですが、平熱ではなかったときの対応を知ることも非常に重要です。
平熱よりも高い・低い場合の原因と対処法について詳しく説明していきます。
平熱よりも体温が高い場合
一般に39.5°C以上の場合は発熱の疑いがあります。平熱より1℃以上熱が高い場合は注意しましょう。
発熱は、免疫細胞が分泌するサイトカインという物質によって炎症反応が生じ、この炎症によって起こります。
熱は炎症反応の一部であることを覚えておいてください。
猫の発熱は病気のシグナルなので、平熱よりも高いときは注意が必要です。
飼育環境
猫は、引っ越しや多頭飼いなどで住む環境が変化してしまうと、ホルモンが過剰に分泌され、代謝が亢進してしまい発熱することがあります。
一過性で体温が上昇している場合もあるので、しばらくしてから再度測定してみましょう。
対処法として、猫がリラックスできる動物用サプリメントの使用や、清潔なトイレ、キャットタワーを設置するなど、少しでもリラックスできる環境作りをしてあげてください。
猫の精神状態
何度も体温を測ろうとすると、猫が暴れて興奮状態になってしまい、平熱よりも体温が高く測定されてしまうので注意が必要です。
対処法としてはおやつなどを与えて、なるべくリラックスさせてあげてください。
何らかの病気にかかっている場合
猫風邪の場合は、体温が変化せずに平熱であることが一般的です。
一方で、すい臓や胆管に感染が生じた、ケガなどの外傷によって炎症反応が生じた場合では、熱が出ます。
そのほかにも、癌や甲状腺機能亢進症、心不全などの病気にかかっている場合にも熱が出ることがあります。
対処法としてはすぐに動物病院に連れて行きましょう。対応が遅れると命に関わる場合もあるので、異常を感じたらすぐに行動することが重要です。
平熱よりも体温が低い場合
猫は寒い場所が苦手な動物です。もし平熱より体温が低い場合は、室内の温度の調節が必要になります。
室温は25℃ぐらいに設定してあげるのが良いでしょう。
うまく測定できていない
猫がお尻を見せるのを極度に嫌がったり、体温計を入れた際に逃げられてしまったりすると平熱よりも低く測定されてしまいます。
対処法として、体調に問題がないようであれば、落ち着かせて再度測定を試みてください。
何らかの病気にかかっている
低血糖や糖尿病などで血糖値が維持できなくなると、細胞内に糖を取り込めなくなってしまうので、熱を生産できなくなり、体温を平熱に維持できなくなります。
また、血栓症などの心臓病を有していると、血液の流れが悪くなり血液中に血栓が形成されてしまいます。
すると、血液の流れの遮断や鋭い痛みが生じ、体温を平熱に維持することが困難になります。
特に肉球の温度が低くなるなどの症状が出るので、注意して確認してみてください。
体温の低下や猫の異常を感じたら、自己判断は禁物です。かかりつけの動物病院に相談しましょう。
特に注意が必要な猫の体温と対処法
40℃以上の高熱
猫にとって、40℃以上の体温、つまり平熱より2℃以上高い場合は非常に危険です。
猫が40℃以上の体温になっていると、体は体温を下げようとパンティング(開口呼吸)を行います。
健康な猫は口を開いて呼吸することはしないので、このような様子が見られたら注意が必要です。
高温多湿の環境や基礎疾患の合併症で、体温が40℃以上になっている場合を「熱中症」と呼びます。
熱中症は「脳障害を主とした多臓器不全を伴う全身炎症性反応を引き起こす高体温」と言われています。
初期には、パンティング(開口呼吸)、吐く、下痢などの症状が見られ、熱性けいれんやショック状態におちいる大変危険な状態です。
対処法として、扇風機やうちわで風を送ってあげてください。
また、水でぬらしたタオルなどで、全身を包んであげる、首元に巻いて少しでも熱を下げるのも効果的です。
自宅での処置は困難なため、早急に動物病院に連絡しましょう。
37.2℃以下の低体温
37.2℃以下の場合も猫の命に大きく関わり、救命が困難になるほど重大な状態です。
平熱より1℃以上低い場合は低体温症と呼ばれます。低体温は血流の流れが低下し、全身の細胞や臓器に栄養が届かず、体温を維持できない危険な状態です。
肥大型心筋症と呼ばれている心臓病の場合、血栓が形成されて血流が遮断されることで、臓器が壊死して低体温を引き起こします。
もし、片方の足や肉球の温度が熱くて、片方の足の体温が低い場合には、動物病院へ連絡することをお勧めいたします。
まとめ
猫はとても繊細な動物です。
熱が高い場合や低い場合は注意が必要です。自宅での検温は困難な場合も多くあります。
猫の様子がいつもと違うと感じたら、注意深く様子を見て、判断に迷ったら動物病院に連絡しましょう。
定期的な健康診断など、動物病院を受診したときは、検温を行うことをおすすめします。
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