猫に寄生するダニ・マダニ・耳ダニとは?種類や危険性・予防法について詳しく解説
猫に寄生する「ダニ」には、さまざまな種類が存在しています。
その中でも、「マダニ」は人に感染する病気を運んでいるため、予防がとても大切です。
今回は猫に寄生するダニの種類や、ダニが引き起こす病気、予防法などについてお伝えします。
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猫に寄生するダニとは?
ダニは大きく2種類に分けられます。
カーペットや布団に潜んでいる目に見えないほど小さなダニは「チリダニ」と呼ばれる種類で、人のフケやほこりを餌にして生活しています。
一方、動物に寄生して吸血する、病気を媒介するのは「マダニ」と呼ばれる種類です。
吸血する前であっても、大人のマダニは3~10mm程度の大きさがあり、肉眼で確認することができます。
吸血後は10倍くらいの大きさにまで膨らむため、簡単に発見することができます。
十分に吸血すると、メスのマダニは動物の体から地上に落下して産卵しますが、多いときは2,000~3,000個もの卵を産むともいわれています。
そして、産まれたマダニは吸血と脱皮をくり返し、成長していきます。
マダニは緑が多くて適度な湿気のある環境を好むので、公園の草むらや河川敷に潜んで、寄生できる動物が来るのを待ち構えています。
特に暖かい春から秋にかけて活動が活発となりますが、種類によっては冬に活動するマダニもいるので、基本的には一年中警戒する必要があります。
マダニは吸血するだけではなく、さまざまな病気を運んでいる可能性があります。
中には重症熱性血小板減少症候群(SFTS)のように、人の命に関わる感染症もあります。
猫のマダニ予防を行うことは、私たち自身を守ることにもつながります。
猫に寄生したマダニが引き起こす感染症とは
マダニは猫の頭や耳など皮膚の薄い部分に好んで寄生し、吸血と唾液の分泌を交互に繰り返します。
寄生されると貧血を引き起こすだけでなく、マダニが運ぶ病原体から感染してしまうリスクもあります。
猫ヘモプラズマ感染症
ヘモプラズマという細菌が、猫の赤血球に寄生することで赤血球が破壊され、貧血を引き起こす病気です。
感染すると、元気や食欲がなくなる、発熱、歯茎や目の粘膜が白くなるといった症状がみられます。
Q熱
コクシエラという細菌が原因となる感染症で、猫は感染しても目立った症状はみられないことが多いです。
人に感染すると、高熱や頭痛といったインフルエンザのような症状がみられます。
ライム病
ボレリアという細菌が原因となる感染症で、日本では北海道や長野県での発生が比較的多く報告されています。
猫は感染しても目立った症状はみられないことが多いですが、人が感染すると、徐々に紅斑(こうはん)が広がっていく「遊走性紅斑(ゆうそうせいこうはん)」、発熱、関節痛、頭痛、倦怠感といった症状がみられます。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
「フタトゲチマダニ」は日本にも広く生息しており、致死率が高く、危険な感染症として知られています。
猫は感染しても目立った症状はみられないことが多いですが、人が感染すると、発熱や倦怠感、消化器症状、皮下出血や下血がみられ、ときには命に関わることもあります。
現在のところ有効な治療法は見つかっていないため、予防がとても重要な感染症の一つです。
愛猫の体にマダニを見つけたらどうする?
マダニは肉眼で確認できるサイズのため発見しやすいですが、見つけたからといって、むやみに取ったり潰したりしないようにしましょう。
マダニは頭を皮膚に食い込ませて寄生しているため、無理に引っ張ると頭だけが猫の体に残ってしまいます。
また、細菌やウイルスを運んでいることもあるため、潰してしまうのも危険です。
マダニを発見したら動物病院に連れて行き、駆除薬の処方など、適切な処置をしてもらいましょう。
マダニ以外にも注意したいダニの種類
マダニ以外のダニは「チリダニ」や「微小ダニ」とも呼ばれ、肉眼では確認できない小さいサイズですが、さまざまな病気の原因となります。
ヒゼンダニ
ヒゼンダニは体長0.2mm前後の小さなダニで、動物の皮膚にトンネルを掘って寄生し、皮脂などを餌に生活します。
猫に寄生するのは主にネコショウセンコウヒゼンダニという種類で、感染力がとても強く、感染している動物との接触、タオルやブラシの共有などで感染が広がります。
ヒゼンダニは「疥癬(かいせん)」という皮膚炎の原因となり、特に顔周りや耳に、強いかゆみや発疹を引き起こします。
皮膚をかき壊してしまうことで、出血や化膿します。細菌の二次感染により、さらに炎症が悪化するという悪循環に陥ってしまうこともあります。
免疫力が低い子猫や高齢猫、体調を崩している猫などは感染しやすいため、注意が必要です。
また、感染している猫と接触することで、人にも一時的に強いかゆみを引き起こすことがあります。
ミミヒゼンダニ
ミミヒゼンダニは体長0.3mm前後の小さなダニで、耳の入り口から鼓膜までの外耳道に寄生し、耳垢や耳から出る分泌物を餌に生活します。
感染している動物との接触で感染するため、母猫から子猫への感染や、猫の集まる保護施設や多頭飼育の家庭で感染が広がることが多いです。
ミミヒゼンダニの唾液や排泄物が原因となる病気を、「耳ダニ症」や「耳疥癬(みみかいせん)」と呼び、特徴的な真っ黒い耳垢、耳からの異臭、強いかゆみなどの症状が出ます。
かゆみや痛みのサインとして、耳をかくだけでなく、しきりに頭を振る、壁や床に耳を擦りつける、耳を触られることを嫌がるといった仕草もみられます。
ツメダニ
猫に寄生するツメダニは主にネコツメダニという種類です。大きさは約0.4~0.5mmで、小さく白っぽい色をしているため、フケと間違えられることがあります。
名前のとおり、鋭いかぎ爪を使って動物の皮膚に寄生します。
ツメダニは感染している動物との接触で感染するだけでなく、ノミやシラミ、ハエなどが運ぶ場合もあります。
症状は、背中から腰にかけて大量のフケが出ることや、湿疹やかさぶた、脱毛がみられます。かゆみは強くないことが多いです。
ツメダニは人を刺すこともあり、症状は一過性ですが、「ダニ刺咬性(しこうせい)皮膚炎」を引き起こし、かゆみが出ることがあります。
ダニが猫に寄生するのに考えられる原因とは?
屋外
マダニは公園や河川敷など、身近な環境に潜んでいます。
外に出ないことが最善の予防策ですが、外に出る場合は予防薬の使用を徹底し、外から帰ってきたときは全身をチェックしてあげましょう。
屋内
完全室内飼育の猫であっても、油断はできません。家の中は一年中快適な気温で、ダニにとっても過ごしやすい環境です。
特にチリダニはカーペットや布団に潜んでいる可能性が十分にあるので、家の中を常に清潔に保ち、除湿や換気を行う必要があります。
犬からの寄生
マダニは、同居の犬から感染する可能性もあります。
お散歩コースに公園や河川敷があると、マダニが寄生するリスクも高くなります。
家の中にマダニを持ち込まないよう、予防薬を使用する、お散歩の際には服を着せる、帰ってきたらブラッシングをするなどの対策をしましょう。
人からの寄生
自然の多い場所に出かけるときなどは、長袖の服を着る、家に入る前に全身を念入りにチェックして、家の中に持ち込まないようにしましょう。
猫をダニから守るためにできる対策とは
予防薬
一番の予防は、予防薬を使用し、外の猫との接触を避けることです。
できれば完全室内飼育をすることが望ましいですが、外にお散歩に行く猫であれば、予防薬を使用することをおすすめします。
首に垂らす液体タイプの予防薬が主流ですが、錠剤などの飲み薬もあります。
ダニだけではなくノミや他の寄生虫もあわせて予防できるものもあります。生活習慣や体質に合わせて、動物病院で選んでもらいましょう。
ブラッシング
目に見えないチリダニなどをブラッシングで取り除くのは難しいですが、吸血前のマダニであれば落とせる可能性があります。
マダニが寄生しやすいのは、耳、目や鼻の周り、胸、内股、おしりの周りなど、比較的毛の薄い部分です。
ブラッシングの際には、その辺りを念入りに確認できると良いですね。
部屋の掃除
家の中は一年中暖かく、夏は湿度も高くなりがちで、ダニが好む条件がそろっています。
そして、チリダニなどは人のフケやほこりを餌に生活しているため、餌が豊富にある環境では繁殖しやすいといえます。
家の中はこまめに掃除をする、定期的に換気をする、除湿を行うようにしましょう。
定期的な洗濯
人が使っているカーペットや布団、猫が使っているタオルケットやベッドなども、定期的に洗濯し、日光にあてるようにしましょう。
洗った後はしっかり乾燥させ、湿気が残らないようにすることもポイントです。
まとめ
猫に寄生するダニはさまざまで、私たちにとっても危険な種類が存在します。
猫のダニ予防を行うことは、猫を守るだけでなく、飼い主さま自身を恐ろしい感染症から守ることにもつながります。
ダニは常に、すぐそばに潜んでいると考えて、一年中しっかり対策を行っていきましょう。
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