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犬の膵炎(すいえん)とは? 症状・原因・治療法などを獣医師が解説

公開日:2025.01.31 最終更新日:2025.01.30

膵炎とは、膵臓(すいぞう)が炎症を起こしたときの病名で、人間と同じように犬も発症することがあります。
主な症状は、急に食欲がなくなる、嘔吐を繰り返す、腹痛や下痢などですが、重症化すると命に関わることもあるため、注意が必要です。
偏った食事内容や肥満、糖尿病などの内分泌疾患の持病が、原因とされています。
ここでは投薬などの治療法も含め、犬の膵炎についてお伝えします。

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犬の膵炎(すいえん)とはどんな病気?

犬の膵炎とはどんな病気

膵炎は、膵臓(すいぞう)に炎症が起きる病気です。

膵臓には、消化酵素を分泌して消化を助ける消化器官としての働きと、血糖値を一定に保つためにインスリンというホルモンを分泌する内分泌器官としての働きがあります。

何かしらの原因で消化酵素の働きが活発になりすぎると、自らの消化酵素で自らを消化・分解するということが起こります。

膵炎には急性膵炎と慢性膵炎があります。

急性膵炎は膵臓が損傷されることで炎症が起き、臓器として正常に働くことができなくなってしまいます。

慢性膵炎では目立った症状が出ることは少ないですが、持続的な炎症によって膵臓が線維化したり委縮したりして、膵臓の機能が徐々に低下していきます。

 

かかりやすい犬種は?

先天的・遺伝的に、膵炎にかかりやすい因子を持つ犬種が指摘されています。

具体的にはミニチュア・シュナウザー、ヨークシャー・テリアなどは発症しやすいとされています。

 

かかりやすい年齢は?

膵炎は年齢に関係なくかかる病気です。

副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)などの持病があると発症しやすくなると考えられています。

そのため、傾向としては、基礎疾患を持つ中高齢の犬に多いとされています。

 

犬の膵炎(すいえん)の症状

犬の膵炎の症状

犬が膵炎を発症すると、嘔吐を繰り返す、食欲不振など消化器系の異常が現れます。

元気がなく動かない、苦しそうにしているといった全身症状が出ることもあるでしょう。

 

連続する嘔吐

膵炎を発症すると突然、連続して嘔吐することがあります。

吐くのは、食べ物だけではありません。

飲んだ水を吐くこともあれば、内容物がなく、胃液などを吐くこともあります。

発熱を伴うケースもあります。

 

食欲が落ちる

膵炎を発症すると食欲が落ち、大好きなフードやおやつも口にしなくなってしまいます。

少量であれば食べることもありますが、普段の食べ方と比べて明らかに食欲がないと感じる場合は、注意しましょう。

 

元気がない、動かない、苦しそう

急性膵炎の場合、強い腹痛を伴います。

そのため、元気がなく動かなくなったり、苦しそうにしたり、つらそうな様子が見られるようになります。

愛犬が前足を伸ばして上半身を伏せ、腰を高く上げてじっとしている姿勢は、腹痛があるサインの一つです。

おなかが痛いときは、抱っこやおなかに触れられることを嫌がったり、痛そうに鳴いたりすることもあります。

 

犬の膵炎(すいえん)の原因

犬の膵炎の原因

犬が膵炎になる原因は、まだはっきりとはわかっていませんが、以下のようなものが原因ではないかと考えられています。

 

高脂肪な食事

日常的な高脂肪食は膵炎の原因になりうると考えられています。

高脂肪食は肥満を招くため、肥満も膵炎の原因といわれています。

 

異物の誤飲

膵炎の原因の一つとして、異物の誤飲も挙げられます。

愛犬が散歩中に異物を飲み込んでしまい、その異物が膵臓を傷つけて炎症を起こすことがあります。

 

ホルモン系疾患や糖尿病などの基礎疾患

甲状腺や副腎皮質などのホルモン系疾患、糖尿病や高脂血症などの基礎疾患も、体調には影響を及ぼします。

直接的な原因とはいえませんが、膵炎を誘発する可能性があると覚えておきましょう。

 

遺伝

先ほどご紹介したように、ミニチュア・シュナウザーやヨークシャー・テリアなど、遺伝的に発症しやすい犬種もいます。

 

犬の膵炎(すいえん)の治療法

犬の膵炎の治療法

犬が膵炎を発症したときの治療は、「絶食して点滴」と「投薬」という2本柱で行われるのが一般的です。

 

絶食と点滴による治療

食事をとると、膵臓に刺激と負担がかかってしまいます。

症状が強く出ているときは、絶食により膵臓を休めることが治療の基本です。

膵炎では脱水を伴っていることもあり、絶食するとその症状を悪化しかねません。

そのため、並行して点滴も行います。

絶食には低血糖や脱水のリスクが伴い、命に関わることもあります。

自己判断での絶食は絶対にしないようにしましょう。

 

投薬

吐き気や痛みがある場合は、それらの症状を緩和する薬を投与します。

飲み薬が処方されることもありますが、嘔吐の症状が続いているときには、飲ませることが難しいケースもあります。

せっかく飲んでも、すぐに吐いてしまうこともあるでしょう。

その場合は、注射や点滴で薬剤を投与することもあります。

感染症にかからないように、獣医師の判断で抗生物質が処方されることもあります。

 

まとめ – 犬の膵炎(すいえん)の予防とケアをしましょう

犬の膵炎は、愛犬はもちろん、飼い主さまにとってもつらい病気です。

肥満や高脂肪の食事が原因の一つと考えられていることを踏まえ、食事は適切に与えることが発症予防につながります。

定期的に健康診断を受けることは、発症のリスク軽減や発症した場合の早期発見にもつながるでしょう。

愛犬を膵炎から守るためにも、ぜひ意識してみてください。

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