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犬のクッシング症候群ってどんな病気?特徴的な症状や治療法を解説【獣医師監修】

公開日:2026.02.19 最終更新日:2026.02.20

犬のクッシング症候群は、副腎皮質から分泌されるコルチゾールというホルモンが過剰になり、体にさまざまな影響を及ぼす病気です。
「副腎皮質機能亢進症(ふくじんひしつきのうこうしんしょう)」とも呼ばれ、特に7歳以降の犬で発症が目立つ病気です。
多飲多尿、食欲増加などの初期症状がみられたら注意が必要です。
進行がゆるやかなため、飼い主さまにとっては気づきにくい面がありますが、症状を知れば、早期発見と治療が可能です。

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犬のクッシング症候群とは?

犬のクッシング症候群とは

クッシング症候群は、副腎から分泌されるホルモンのバランスが崩れることで、全身に不調が現れる病気です。

この病気の大きな特徴は、初期症状が非常にゆるやかに進行するため、一見すると体調が悪そうに見えない点にあります。

いかに早く異変に気づけるかが、その後の悪化を防ぐ重要なポイントとなります。

 

クッシング症候群の初期症状

水を飲む量、排尿の回数や量、食欲などに変化が見られます。

 

  • 多飲多尿
  • 水を大量に飲むようになり、排尿の回数や量も増えます。

    腎臓の水分調整機能が乱れるため、尿が多く出てしまい、そのぶん喉が渇いて大量に飲むようになります。

    いっぱいにした水飲みボウルもすぐに飲み切ってしまう、夜中でも頻繁にトイレに行くという症状が出たら、要注意です。

    このような変化が見られたら、早めに動物病院を受診してください。

     

  • 食欲が増す
  • 食欲が増し、食べ物を欲しがるようになります。

    エネルギーの供給を促進し、空腹感を感じやすくなるためです。

    食べ物を探して周囲をかぎ回ったり、ゴミをあさったりする姿がみられることもあります。

    単なる食欲旺盛と見過ごさず、変化を感じたら獣医師へ相談しましょう。

 

クッシング症候群の主な症状

病気が進行すると、次のような症状もみられるようになります。

 

  • お腹がふくらむ

    肝臓が腫れたりお腹まわりの筋力が弱くなることで、お腹が垂れ下がってふくらんだように見えます。

    人間でいう「ビール腹」のような状態です。

     

  • 皮膚トラブルが出る

    皮膚が薄くなる、左右対称の脱毛が起こる、フケが増える、皮膚に色素が沈着するなど、病気の進行とともに皮膚にも異常が現れます。これは、クッシング症候群によりコルチゾールが過剰に分泌され、皮膚の代謝や再生機能が低下するためです。

     

  • 運動をいやがる

    筋力が落ちるため、散歩に行きたがらない、ジャンプをしなくなるなど、運動をいやがる様子が見られるようになります。

     

  • 呼吸が浅く速くなる

    筋力が低下しているため、それまでより呼吸が激しくなることがあります。

    横隔膜や肋間筋(胸のまわりの筋肉)など呼吸に関わる筋肉の力が弱まると、少ない力で息をしようとして呼吸が浅く速くなるためです。

    運動後など明確な理由がないにもかかわらず口を開けて浅く速い呼吸をしている場合は、すぐに動物病院に相談してください。

     

 

犬のクッシング症候群の原因と分類

犬のクッシング症候群の原因

原因により大きく「下垂体性クッシング症候群(かすいたいせいクッシングしょうこうぐん)」「副腎腫瘍性クッシング症候群(ふくじんしゅようせいクッシングしょうこうぐん)」「医原性クッシング症候群(いげんせいクッシングしょうこうぐん)」に分類されます。

 

下垂体性クッシング症候群(Pituitary Dependent Hyperadrenocorticism:PDH)

コルチゾールの量は、脳の一部である下垂体からの指令で調節されています。

下垂体に腫瘍ができて副腎が必要以上に刺激を受けると、コルチゾールの分泌が過剰になります。

犬のクッシング症候群全体の約90%を占めるといわれている原因です。

 

副腎腫瘍性クッシング症候群(Adrenal Tumor:AT)

副腎に腫瘍ができ、コルチゾールの分泌が過剰になるタイプです。

全体の10%前後がこのタイプとされています。

 

医原性クッシング症候群

皮膚疾患などによりステロイド薬を長く使用していた場合は、体内にコルチゾールが増えすぎて医原性のクッシング症候群を引き起こすことがあります。

 

犬のクッシング症候群の診断と治療法

犬のクッシング症候群の診断

診断は、飼い主さまとの問診、血液検査を含めた複数の検査をもとに行われます。

治療は内科的治療が中心ですが、腫瘍ができている場合は、外科手術で取り除くことも治療の選択肢です。

 

診断方法と検査内容

診断は、問診と検査結果を総合的に判断して行われます。

動物病院によっても異なりますが、おおまかな流れ、検査内容は下記のとおりです。

  1. 問診と診察
  2. 血液検査と尿検査
  3. ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)刺激試験
  4. デキサメタゾン(合成副腎皮質ホルモン)抑制試験
  5. エコーやCTによる画像撮影

 

  1. 問診と診察

    飼い主さまから症状や生活の様子を聞き取り、皮膚や腹部の状態を診ます。

     

  2. 血液検査と尿検査

    血液検査で肝酵素を測定したり、尿検査で尿比重を調べたりします。

     

  3. ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)刺激試験

    ACTHという副腎を刺激するホルモンを投与し、コルチゾールの分泌量を調べる検査です。

     

  4. デキサメタゾン(合成副腎皮質ホルモン)抑制試験

    デキサメタゾンというホルモンを投与し、コルチゾール値が抑制されるかを調べます。

     

  5. エコーやCTによる画像撮影

    下垂体や副腎の腫瘍の有無、大きさや位置を確認する検査です。

 

内科的治療と薬物療法

治療は、症状の進行を抑える薬物療法がメインです。

一般的に用いられるのは、コルチゾールの合成を阻害して分泌量を抑える「トリロスタン」という内服薬です。

定期的にコルチゾール量を検査しながら治療を継続することで、症状の軽減が期待できます。

 

外科的治療と放射線療法

副腎腫瘍の場合は外科手術が、下垂体腫瘍の場合は放射線治療が選択されることもあります。

 

犬のクッシング症候群の予防と日常ケア

犬のクッシング症候群の予防

犬のクッシング症候群は、生活習慣などで完全に予防できる病気ではありません。

そのため、定期的な健康診断による「早期発見」が非常に重要です。

 

定期的な健康診断と早期発見の重要性

クッシング症候群は初期症状が分かりにくいため、定期的な検査が発見の鍵となります。

特に、発症リスクが高まる7歳以降のシニア期に入ったら、健康診断の頻度を増やす(半年に1回など)ことをおすすめします。

血液検査や尿検査を継続的に受けていれば、無症状のうちに異常に気づける可能性が高まります。

獣医師と相談しながら、年齢に応じた検査プランを立てていきましょう。

 

犬のクッシング症候群を理解し、早期発見と適切なケアを心がけよう

犬のクッシング症候群は、副腎皮質から分泌されるコルチゾールというホルモンが過剰になり、体にさまざまな影響を及ぼす病気です。

珍しい病気ではありませんが、ゆるやかながら症状が進行する点に、注意が必要といえます。

日頃の注意深い観察と、定期的な健康診断が愛犬の命を守ることにつながります。

 

普段から注意深く見守り、多飲多尿、食欲増大などの初期症状が見られたら、愛犬の健康のためにも、早めに動物病院を受診してください。

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