猫の下痢はあなどると危険?原因や動物病院を受診するときのポイント【獣医師監修】

猫の下痢は、一時的な体調不良から重大な疾患のサインまで、その原因は多岐にわたります。
飼い主さまが適切に対処するためには、便の状態や愛猫の様子を正しく把握し、受診のタイミングを判断することが重要です。
本記事では、猫の下痢の種類や考えられる原因、自宅でのケアと動物病院を受診すべき目安について詳しく解説します。
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猫の下痢の種類

猫の下痢は、便に含まれる水分の量や混ざっているものによって、大きく「軟便」「水様便」「血便」「粘液便」の4つに分けることができます。
軟便
正常な便は硬くて形もしっかりしていますが、それに比べるとやわらかい便です。
水分が多いため、形が崩れやすかったり泥のようだったりします。
水様便
形がなく、ほぼ水と変わらない状態の便です。
何らかの原因で便に含まれる水分量が異常に増えてしまうと、水様便になります。
血便
便に血が混ざっているのが血便で、消化管からの出血が疑われる便です。
大腸など肛門に近い部位から出血している場合は赤みのある便、胃や小腸での出血は黒っぽい便になります。
黒っぽい便(タール便)は消化管上部からの出血を示唆し、緊急性が高いことが多いです。
粘液便
ゼリーのような粘液が付着している便です。
猫は大腸から粘液を分泌しているため、便に粘液が混ざる子もいますが、いつもより多い、明らかに異常が感じられる場合は注意しましょう。
猫が下痢になる原因

下痢の原因は、日常的なストレスから深刻な感染症まで多岐にわたります。原因によって対処法も異なるため、何がきっかけとなっているかを探ることが大切です。
思い当たる原因があり、便がゆるいだけで元気も食欲もあるようでしたら、少し様子をみてもよいかもしれません。
ストレス
引っ越しや模様替えといった環境の変化、慣れない来客やお出かけ、近所の騒音などは、猫にとってストレスになることがあります。
心当たりがある場合は、まず「トイレが汚れていないか」「食事の場所が騒がしくないか」といった基本的な生活環境をあらためて見直してみましょう。
そのうえで、猫が静かに安心できる隠れ家を用意したり、なるべく愛猫と一緒に過ごす時間を増やして安心感を与えるなど、落ち着ける環境を整えてあげることが大切です。
新しいフード
フードを切り替えるときにいきなり全量を新しいものに変えると、おなかをこわしてしまうことがあります。
フードが愛猫に合っているかを見極めたり、胃腸への負担を減らしたりするためにも2~3週間ほどかけて少しずつ新しいフードの割合を増やしていきましょう。
猫の下痢で注意すべき病気と症状

長引く下痢の場合は、異物誤飲やアレルギーなど、以下のような病気の可能性もあります。
異物誤飲
ねぎ類やチョコレート、ユリやシクラメンは、猫が口にすると中毒を起こすことが知られています。
さらに、おもちゃやビニール、ヒモなど、遊んでいるうちに誤って飲み込んでしまうものもあります。
飲み込んだものによっては、下痢や嘔吐といった症状が出るだけではなく、命に関わることもあるので注意が必要です。
誤飲してしまった場合は、無理に吐かせず、速やかに動物病院に連絡し対処しましょう。
食物アレルギー
食物アレルギーでは、消化器症状と同時に皮膚の赤みや脱毛、かゆみなどの症状がみられることがあります。
アレルギーの主な原因となるのはフードに含まれる肉や魚などのタンパク質なので、症状が出た場合は、それまであげたことのないタンパク質を原料としたフードに切り替えるなどの対策が必要になります。
慢性腸症
慢性的に腸に炎症が起こる病気で、長期間にわたり下痢や嘔吐をくり返すのが特徴です。
重症化すると腸での栄養の吸収がうまくいかなくなって、食欲不振や体重減少がみられる場合もあります。
原因ははっきりしていませんが、遺伝的な要素、過剰な免疫反応、腸内細菌の乱れなどが関係していると言われています。
内分泌疾患や腫瘍
高齢の猫では、甲状腺機能亢進症といった内分泌疾患や、リンパ腫などの腫瘍のリスクが高まります。
1年に1回は健康診断を受け、早期発見を心がけましょう。
子猫に多い下痢

子猫では、ウイルスや寄生虫感染による下痢が多くみられます。
体の小さい子猫は脱水や体力の低下が起こりやすいので、早めに動物病院に相談しましょう。
猫汎白血球減少症
パルボウイルスによる感染症です。
発熱や嘔吐、下痢がみられ、便には血が混じることもあります。
感染力が強く、まだ免疫のしっかりしていない子猫は重症化して命に関わることもあります。
できるだけ混合ワクチンを受けて予防を心がけましょう。
猫伝染性腹膜炎
猫コロナウイルスによる感染症です。
本来であれば軽い胃腸炎を起こす程度ですむのですが、ウイルスが猫の体内で変異すると、猫伝染性腹膜炎という病気を引き起こすことがあります。
日本にはまだワクチンがないので、生活環境を整えてストレスを減らし、免疫力を維持できるようにしましょう。
寄生虫感染
猫に下痢を引き起こす寄生虫は、コクシジウム、ジアルジア、回虫、トリコモナスなどです。
特に保護猫の場合は、外での生活や集団生活により感染のリスクが高く、既に感染している可能性もあります。
寄生虫がいても症状を示さないこともあるので、健康診断の際に便検査を受けてみるとよいでしょう。
猫が下痢になったときの対処法

猫が下痢をしたら、食事の量を減らすなどして胃腸を休ませ、あたたかく安静に過ごすことが基本です。
そのうえで、以下のことも意識するとよいでしょう。
猫の下痢で観察すべきポイント
観察のポイントは、便の状態(色や形)、排便の回数、下痢が始まってからの期間、嘔吐の有無、飲水量の変化、お腹の張り、愛猫の様子です。
愛猫の様子では、元気はあるかなど、いつもの様子との違いをしっかりチェックしましょう。
猫が下痢をしているときの食事
腸を休ませるために、お湯でふやかすなどしてフードをやわらかくし、量を少なめにして与えるようにしましょう。
消化によい療法食にすることも、方法の一つです。
いずれの場合も、愛猫の様子をよく観察しながら、獣医師にも相談して進めましょう。
特に注意すべき症状
特に注意したいのは、水様便、血便、粘液便が出ているときです。
そのほか、元気がなくぐったりしている、食事も水分もとらない、下痢が2日以上続いているといった症状がある、子猫が下痢をしているという場合は、早めに受診しましょう。
動物病院を受診するときのポイント

下痢の受診では、便の状態をどれだけ正確に獣医師に伝えられるかがポイントといえます。
その意味でいちばんよいのは、新しい便を採取して持参し、獣医師にみてもらうことです。
便の採取が難しい場合は、写真を撮りましょう。
獣医師の診断の手がかりとなるように、便の状態(水様便か粘液便かなど)がはっきりわかるように撮影し、色、においなども確認して伝えられるようにします。
そのほか、下痢が始まった時期、下痢をする前後の食事内容や量、愛猫の様子で気づいたことや気になることをメモしておきましょう。
過去の病歴や治療歴、直近の通院状況、ワクチン接種の有無についてもまとめておくと、問診がスムーズに進みます。
猫の下痢に関するよくある質問
知識があれば、飼い主さまも落ち着いて対処できます。
猫の下痢について、よくある質問と回答をまとめました。
猫の下痢予防のために普段からできる工夫はありますか?
デリケートな猫は、引っ越しなど環境の変化がストレスとなり、下痢をすることがあります。
猫にとってストレスのない生活を心がけ、やむを得ない環境の変化につきましては、猫が安心できる隠れ家やいつもの持ち物を用意し、生活リズムをできるだけ変えずに過ごさせることでストレスを和らげましょう。
誤飲を防ぐための生活環境の整備、体質に合ったフードの選択、ワクチン接種なども有効な予防手段です。
猫が下痢の際に絶食させるのは効果的ですか?
基本的に猫の絶食は体に負担がかかり、別の病気を引き起こすおそれがあります。
特に子猫の場合は、注意が必要です。
飼い主さまの判断で絶食させることはせず、獣医師の判断にしたがいましょう。
猫が下痢のときの水分補給の注意点は?
下痢では体の水分やミネラルが失われ脱水しやすくなるため、水分補給が必要です。
猫の中には、あまり水を飲まない子もいるため、愛猫が下痢をしたらフードからも水分補給ができるようにするとよいでしょう。
ウェットフードを取り入れたり、ドライフードをお湯でふやかしたりすると、効果的に水分補給ができます。
愛猫が下痢になったらよく観察し適切に対処しましょう
愛猫が下痢をしたら、あわてずに便の状態をよく観察しましょう。
少しゆるいくらいでも元気と食欲があれば心配ないケースも多いのですが、水様便、血便、粘液便が出ていたら、早めの受診を検討してください。
その際、できれば便を採取して持参すると獣医師の診断に役立ちます。
ストレス、フードの変更、アレルギーなど、猫が下痢をする原因はさまざまです。
ふだんから愛猫の様子をよく観察し、対処できるようにしておきましょう。
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