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猫の尿路結石(尿石症)の原因とは?症状や予防方法を解説

公開日:2022.11.15 最終更新日:2026.08.28

ネコちゃんがトイレに何度も行く、トイレからなかなか出てこない――そんな様子が見られたら、尿路結石(尿石症)を起こしているかもしれません。
尿路結石は年齢や性別を問わず発症し、悪化すると尿が出せなくなって命に関わることもある病気です。
この記事では、猫の尿路結石の原因や症状、診断・治療方法、診療費の目安のほか、再発を防ぐための予防方法までわかりやすく解説します。

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猫の尿路結石(尿石症)とは?

尿石症(尿路結石症)とは

尿路結石(尿石症)とは、尿の通り道である「尿路」に、結晶や結石ができてしまう病気です。

腎臓でつくられた尿は、尿管から膀胱、尿道を通って体の外へ出ていきますが、この通り道のどこかに結晶や結石ができると、ネコちゃんの体にさまざまな不調が現れてしまいます。

ネコちゃんの尿路に関する病気では「尿石症」「尿路結石」「FLUTD」など、似たような言葉が多く混同されがちです。

ここではまず、これらの用語の違いと、「結晶」と「結石」の違いについて解説します。

 

「尿石症」「尿路結石」「下部尿路疾患(FLUTD)」の違い

「尿石症」と「尿路結石」は、どちらも同じ病気を指す言葉です。

尿石症は医学的な呼び方で、尿路結石は一般によく使われている呼び方といえます。

一方、「下部尿路疾患(FLUTD)」は、膀胱や尿道などの下部尿路に起こる病気をまとめた呼び名です。

以前は「猫泌尿器症候群(FUS)」とも呼ばれていました。

下部尿路疾患(FLUTD)は、尿路結石のほかに、特発性膀胱炎や尿路感染症なども含まれます。

 

結晶と結石の違い

結晶とは、結石になる前の小さな粒子のことです。

一粒ずつは顕微鏡でなければ見えないほど小さく、尿の中にたくさん含まれると、キラキラと光って見えることもあります。

この結晶が集まって固まり、大きくなったものが「結石」です。

結石になると目に見えるサイズになり、尿路を傷つけたり、尿道に詰まったりして、さまざまな症状を引き起こします。

 

猫の尿路結石の原因

猫の尿石症(尿路結石症)の原因

尿路結石の原因となる結晶や結石の主な成分は、尿に含まれるカルシウムやリン、マグネシウムといったミネラル成分です。

結晶や結石ができる背景には、フードの内容や細菌感染などによって尿のpHバランスが崩れることが関係していると考えられています。

また、ネコちゃんは、祖先が水の少ない砂漠で暮らしていたため、もともと飲水量が少なく、濃い尿を出す傾向がある動物です。

この濃い尿が膀胱に長くとどまることも、尿路結石のリスクを高める一因といわれています。

結石にはいくつかの種類があり、できやすくなる原因はそれぞれ異なります。

ここでは、代表的な結石とその原因について解説します。

 

ストルバイト

ストルバイトの正式名称は、「リン酸アンモニウムマグネシウム」といいます。

尿がアルカリ性に傾くとストルバイトの結晶ができやすくなり、酸性に傾くと溶解されます。

療法食によって尿のpHをコントロールすることが主な治療方法です。

 

シュウ酸カルシウム

尿が酸性に傾くと、シュウ酸カルシウムの結晶ができやすくなります。

ストルバイトとは違い、療法食で溶かすのが難しい結晶です。

排尿を促進することである程度は取り除けますが、大きな結石になってしまった場合は、手術が必要となることもあります。

 

尿酸塩・シスチンなど

ストルバイトやシュウ酸カルシウムほど多くはありませんが、尿酸塩やシスチンが原因で、結石ができることもあります。

尿酸塩の結石は、肝臓の機能の低下や、プリン体という物質の代謝の異常にともなってできやすくなります。

一方、シスチンの結石は、シスチンというアミノ酸の代謝が生まれつきうまくいかないことで生じる、まれな結石です。

症例としては少ないものの、尿路結石の再発をくり返す場合や、治療してもなかなか改善しない場合には、こうした遺伝や体質による結石が関係していることもあります。

 

猫の尿路結石の症状

猫の尿石症(尿路結石症)の症状

尿路結石の症状は、結石ができた場所や大きさ、数によってさまざまです。

初期は膀胱炎に似た症状が中心ですが、結石が尿道に詰まると、命に関わる危険な状態になることもあります。

ここでは、初期に見られるサインと、進行・緊急時に見られるサインに分けて解説します。

 

初期症状のサイン

尿路結石の初期には、膀胱の炎症によって、膀胱炎に似た症状が多くみられます。

代表的なサインは以下のとおりです。

 

<尿路結石の初期に見られるサイン>

  • トイレに行く回数が増える(頻尿)
  • 尿に血が混じる(血尿)
  • トイレ以外の場所で排尿してしまう
  • 排尿のときに痛そうに鳴く
  • 陰部やお腹をしきりになめる

これらのサインが見られたら、早めに動物病院で受診しましょう。

 

進行期・緊急時のサイン

結石が尿管や尿道に詰まり、尿がうまく出せなくなると、緊急の対応が必要です。

特に注意したいサインは以下のとおりです。

 

<尿路結石の進行期・緊急時に見られるサイン>

  • トイレで力んでも尿がほとんど、またはまったく出ない
  • トイレから出てこない、トイレでうずくまっている
  • 嘔吐する
  • ぐったりして元気や食欲がない

尿がまったく出ない状態が続くと、体内に毒素がたまって「尿毒症」を引き起こし、命に関わることがあります。

特に尿道の細い男の子のネコちゃんは尿道閉塞を起こしやすく、短期間で急激に悪化することもあるため、尿が出ていないと感じたら、すぐに動物病院で受診してください。

 

尿路結石になりやすい猫の特徴

尿路結石になりやすい猫の特徴

尿路結石は、年齢や性別、品種に関係なく、どんなネコちゃんでも発症する可能性がある病気です。

ここでは、なりやすい猫種や、性別・年齢・体格、生活環境について解説します。

 

なりやすい猫種

尿路結石自体は、年齢や性別、猫種に関係なくどんな子でも発症しますが、ペルシャやヒマラヤン、アメリカンショートヘア、スコティッシュフォールドなどは、結石ができやすいといわれています。

 

なりやすい性別・年齢・体格

ネコちゃんの性別や年齢、体格によっても、尿路結石のリスクは変わります。

 

<尿路結石に注意したい猫の特徴>

  • 男の子
  • 尿道が細く長いうえにカーブがあるため、結石が詰まる「尿道閉塞」を起こしやすく、重症化しやすい

  • 肥満
  • 飲水量や排尿の回数が減りやすく、尿が濃くなって結石ができやすい

  • 年齢
  • ストルバイトは比較的若い猫、シュウ酸カルシウムは中〜高齢の猫に多い傾向がある

 

なりやすい生活習慣・季節

飲水量や運動量、季節といった生活環境も、尿路結石のなりやすさに関わります。

これらが重なると、尿が濃い状態が続きやすくなるため、注意が必要です。

 

<尿路結石になりやすい生活習慣や季節>

  • 飲水量が少ない
  • 尿が濃くなり、結石ができやすくなる

  • 運動不足
  • 飲水量の低下や肥満につながる

  • 寒い時期
  • 水を飲む量が減りやすい

 

猫の尿路結石の診断方法

猫の尿路結石の診断方法

尿路結石が疑われるときは、動物病院で尿検査や画像検査を行い、結石の有無や種類、位置を確認します。

正確に診断することで、結石の種類に合った治療につなげられます。

ここでは、主な診断方法である尿検査と画像検査について解説します。

 

尿検査

尿検査は比較的簡単に行える検査で、採取した尿を調べて、尿路結石の手がかりを探します。

具体的には、尿に血が混じっていないか(潜血)、結晶が含まれていないか、細菌の有無、尿のpHなどを確認します。

尿に含まれる結晶の種類からは、ストルバイトやシュウ酸カルシウムといった結石の種類を推定することも可能です。

 

画像検査

尿検査で尿路結石が疑われる場合は、結石の位置や大きさをくわしく調べるために画像検査を行います。

 

<主な画像検査>

  • レントゲン(X線)検査
  • 結石の位置や大きさを確認できる。ストルバイトやシュウ酸カルシウムは比較的はっきり写る

  • 超音波(エコー)検査
  • レントゲンに写りにくい小さな結石や、腎臓・尿管の中にある結石も見つけやすい

なお、尿酸塩やシスチンなど一部の結石はレントゲンに写りにくいため、レントゲンと超音波を組み合わせて確認することもあります。

 

猫の尿路結石の治療方法

猫の尿路結石の治療方法

尿路結石の治療は、結石の種類や症状の程度によって異なります。

結晶や小さな結石なら食事療法で対応できることもあれば、尿道に詰まって緊急の処置が必要になることもあるためです。

ここでは、結石の種類別の治療方針と、尿道閉塞が起きたときの緊急治療について解説します。

 

尿路結石の治療方針

尿路結石の治療は、結石の種類によって方針が変わります。代表的な結石ごとの治療方針は、以下のとおりです。

 

■結石の種類と治療方針

結石の種類特徴主な治療方針
ストルバイト尿がアルカリ性に傾くとできやすい療法食で尿のpHを調整し、溶かせることが多い。大きい結石や詰まりがある場合は手術を検討
シュウ酸カルシウム尿が酸性に傾くとできやすい療法食では溶けないため、手術やカテーテルで取り除く
尿酸塩・シスチンなど症例数は少なめ食事療法が中心。改善しない場合は手術を検討

結晶や小さな結石の段階であれば、療法食や尿のpHを調整するサプリメントなどで対応できることが多くあります。

一方、療法食で溶けないシュウ酸カルシウムの結石や、大きくなって尿路に詰まる危険がある結石は、手術やカテーテルで取り除く必要があります。

 

尿道閉塞時の緊急治療

結石が尿道に詰まって尿が出せなくなる「尿道閉塞」は、結石の種類を問わず起こりうる緊急事態です。

放置すると尿毒症を引き起こし、命に関わります。

尿道閉塞が起きた場合は、まず尿道口からカテーテルを入れて詰まりを取り除き、尿が出せる状態に戻します。

あわせて、点滴などで全身状態を整える治療も行われます。

カテーテルで解消できない場合や、閉塞をくり返す場合には、尿道を広げる外科手術が検討されることもあります。

特に、尿が丸1日(24時間)以上出ていない状態は非常に危険なので、尿が出ていないと感じたら、すぐに動物病院で受診してください。

 

尿路結石の診療費の目安

尿路結石の診療費の目安

尿路結石の診療費は、検査や治療の内容、症状の重さによって大きく変わります。

 

■尿路結石の診療費の目安

内容診療費の目安
診察・尿検査・画像検査数千円〜1万円程度
内科治療(療法食・通院)通院1回あたり数千円〜/療法食は治療後も継続的に必要
結石を取り除く手術総額15〜20万円程度(麻酔・入院を含む)
尿道閉塞の緊急処置カテーテル処置+入院で数万〜十数万円/重症の場合は30万円程度になることも

これらはあくまで目安で、動物病院や地域、結石の種類、入院日数などによって変動します。

特に、尿道閉塞を起こして緊急の処置や手術が必要になると、診療費は高額になりやすい点に注意が必要です。

また、尿路結石は再発しやすく、療法食や定期的な検査など、治療後も継続的に診療費がかかることがあります。

気になる場合は、治療を始める前に獣医師に診療費の見通しを確認しておくと安心です。

 

猫の尿路結石の予防方法

猫の尿路結石の予防方法

どんなに気を付けていても尿路結石を完全に予防することはなかなか難しく、一度発症してしまうと再発しやすいといわれています。

だからこそ、日頃のちょっとした工夫でリスクを下げ、発症を防ぐことが大切です。

ここでは、毎日の暮らしの中でできる予防と、再発防止のポイントを解説します。

 

水分をとらせる工夫をする

尿が濃い状態で長く膀胱にとどまると、結石ができやすくなります。

そのため、しっかり水を飲んで、こまめに排尿してもらうことが大切です。

フードや水の与え方を工夫して、水分摂取量を増やすようにしてみてください。

ドライフードを与えている場合は、ふやかしたり、ウェットフードをトッピングしたりするのがおすすめです。

ぬるま湯や常温の水を好む子もいるため、水の温度を変えてみるのもよいでしょう。

あまり水を飲まない場合は、置き場所や器が気に入らないのかもしれません。

フードの器と離して置く、ペット用ウォーターファウンテンを使うといった工夫も効果的です。

水は、ネコちゃんがよく通る場所に複数置き、多頭飼育なら少なくとも「頭数+1個」を用意します。

 

ストレスを与えないようにする

ストレスは、膀胱炎による尿路結石のリスクを高めることがあります。

ストレスがかかると免疫力が低下し、細菌の感染が起こりやすくなるためです。

特に繊細な性格の子は、環境の変化に注意しましょう。

いっしょに遊んだり、話しかけたりしてコミュニケーションをとり、ストレスをやわらげてあげることが大切です。

 

トイレの環境を整える

ネコちゃんの中には、トイレにとてもこだわりのある子も少なくありません。

トイレが汚れていたり、形や大きさ、置き場所、猫砂の種類が好みに合わなかったりすると、排尿を我慢してしまうことがあります。

排尿を我慢すると尿が濃くなり、結石のリスクにつながります。

ネコちゃんが気持ちよく排泄できているか確認し、気に入らない様子が見られたら、トイレの環境を見直してみましょう。

 

運動不足を解消する

運動不足はストレスになるだけでなく、飲水量の低下や肥満にもつながります。

肥満になると動くのがさらに億劫になり、排泄の回数も減ってしまうという悪循環に陥りがちです。

ひとり遊びもよいですが、できるだけおもちゃを使ってネコちゃんの運動にもなるような遊びを取り入れ、適度な運動をうながしてあげましょう。

 

定期的に尿検査をする

尿路結石は再発しやすいため、一度かかったことのある子は、定期的に尿検査を受けておくと安心です。

尿検査では、結晶の有無や尿のpHなどを確認できるため、再発の兆候を早い段階で見つけられます。

症状が出る前に気づければ、食事の見直しなど早めの対策につなげられます。

かかりつけの動物病院と相談し、検査のタイミングを決めておくとよいでしょう。

 

尿路結石の早期発見・早期対応でネコちゃんの健康を守りましょう

尿路結石は、軽い症状で済むこともあれば、尿道や尿管に結石が詰まって命に関わることもある病気です。

重症化を防ぐためには、早期発見と早期対応がなにより大切です。

頻尿や血尿、トイレ以外での排尿といったサインが見られたら、早めに動物病院で受診しましょう。

特に、尿が出ていない様子があるときは緊急性が高いため、すぐに動物病院へ連絡してください。

排泄は、ネコちゃんの健康状態がよくわかるバロメーターです。

日頃から尿の色や量、回数、排尿の様子を気にかけ、毎日の暮らしの中で予防を続けながら、ネコちゃんの健康を守っていきましょう。

 

よくある質問

Q. 猫の尿路結石は完治しますか?再発しやすいですか?

猫の尿路結石は体質や生活習慣が関わるため、一度治っても再発しやすい病気です。

再発を防ぐには、療法食や水分補給、定期的な尿検査を続けることが大切です。

 

Q. 尿路結石の猫に、おやつを与えてもいいですか?

おやつが絶対にダメというわけではありませんが、与え方には注意が必要です。

にぼしやかつおぶしなど、ミネラルを多く含むおやつは、せっかく療法食で調整したミネラルバランスを崩してしまうことがあります。

おやつを与える場合は少量にとどめ、特に療法食を食べている子は、与えてよいおやつや量を獣医師に相談すると安心です。

 

Q. ドライフードは尿路結石の原因になりますか?

ドライフードそのものが、直接、尿路結石の原因になるわけではありません。

ただし、ドライフードは水分が少ないため、飲水量が足りないと尿が濃くなり、結石ができやすくなることがあります。

大切なのは、フードの種類よりも、しっかり水分をとれているか、ミネラルバランスが整っているかです。

ドライフードを与える場合は、水の与え方を工夫するなどして、飲水量が増えるようにしてあげましょう。

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