ポメラニアン

ポメラニアン

ポメラニアンは、家畜の番犬として活躍していた大きな犬種でしたが、小型化が進められることで人気となりました。
可憐で品位のある容姿は、日本でも大変人気のある犬種です。飼い主さまに対して忠誠心があるため、トレーニングもしやすく家庭犬としても向いています。
好奇心が旺盛で活発なため、骨や関節の病気には注意が必要です。

  1. ポメラニアンの特徴
  2. ポメラニアンにかかる飼育費
  3. ポメラニアンの飼育のポイント
  4. ポメラニアンのかかりやすい病気・ケガ

ポメラニアンの特徴

ポメラニアンの性格

ポメラニアンは明るく、好奇心旺盛で甘えん坊です。
基本的に温厚でフレンドリーな性格ですが、気が強い一面もあります。
知らない人や犬とすれ違ったときや、物音がしたときなどに吠えやすい傾向があります。
子犬の頃から無駄吠えをしないしつけをすることがポイントです。

ポメラニアンの容姿

小型で丸みを帯びた、ふわふわのシルエットをしています。
背中の高い位置にあるしっぽが、背中を覆うように前方に倒れていることもポメラニアンの特徴です。
頭部は丸みがあり、直立した三角形の耳と丸くて大きな瞳をしています。
顔のタイプは、マズル(鼻筋)の長い「きつね顔」と、短い「たぬき顔」の2タイプに分かれます。
きつね顔のほうがたぬき顔に比べると、やや大きめの体型ですが、それぞれの愛らしさと魅力があります。

ポメラニアンの被毛・毛色

被毛はダブルコートで、オーバーコートは粗く、アンダーコートは柔らかい綿状です。
頭や足は厚く短い毛、体は長い毛で覆われています。
首まわりから胸にかけてのたてがみを思わせる豊かな毛量、しっぽのふさふさした毛が持ち味といえるでしょう。
毛色は、人気のホワイト、ポピュラーなオレンジ、ブラック、ブラウン、チョコレート、レッドのほか、色の混ざったコンビネーションがあります。
顔周りや眉、足先などに茶色が入った「ブラック・タン」、毛先にかけてグラデーションがかかった「セーブル」など、バリエーションが豊富です。

ポメラニアンの歴史

原産国はドイツで、ドイツとポーランドの国境に位置するポメラニア地方のジャーマン・スピッツや、サモエドが祖先といわれています。
ポメラニアンという名前は、その「ポメラニア地方」に由来するものです。
当時のサイズは中型犬で、現在よりも大きかったようですが、18世紀にはイギリスでも愛好されるようになり、徐々に小型化していきました。
当時愛犬家として知られていたビクトリア女王が愛好していたことをきっかけに、世界的に有名になりました。
ビクトリア女王は、1981年にイギリスで開催されたドッグショーにも、数頭のポメラニアンを出場させ入賞しています。
こうしてポメラニアンの魅力は、イギリスから全世界に知られるようになりました。

ポメラニアンのサイズ

個体差はありますが、体高は18~25cm、体重は1.5~2.5kg程度です。
標準的なポメラニアンよりも小さい「ティーカップ・ポメラニアン」「極小ポメラニアン」と呼ばれる犬種もいます。

ポメラニアンの寿命

およそ12~16歳とされています。小型犬の中では長寿に属する犬種です。

ポメラニアンにかかる飼育費

初期費用

ポメラニアンをお迎えする際には生体にかかる費用のほか、以下のような費用がかかります。

畜犬登録(3,000円前後)

ワンちゃんをお迎えしたら、お住いの市区町村に登録をする必要があります。

狂犬病の予防接種(3,500円前後)

ワンちゃんには年に1回の狂犬病予防接種が義務付けられています。

混合ワクチン(5,000~8,000円前後)

感染症を予防するための注射で、予防できる病気の数によって費用は変わります。

これらに、最初に用意するべきサークルやトイレ、食器、日用品などのグッズの費用が必要になります。

飼育費用

飼育に毎月かかる費用としては、食費、シャンプー、ペットシーツやトイレシートなどの日用品費や衛生用品などがあります。

食費(3,000~5,000円前後)

市販の犬主食用ドッグフードを与えた場合の目安となります。

日用品や生活用品(2,000~3,000円前後)

シャンプー、ペットシーツやトイレシートなどの日用品費や衛生用品などがあります。

トリミング等(4,000~8,000円前後)

ポメラニアンは毛量がとても多い犬種なので、定期的な被毛ケアも予定に入れておくとよいでしょう。

医療費

一般社団法人ペットフード協会の令和4年 全国犬猫飼育実態調査によると、医療費を含む小型犬の毎月の平均支出金額は1万3,422円です。
フィラリアやノミ・ダニの予防薬なども含め、健康であっても医療費として年間で3~5万円ほど必要とされています。

知っておきたい、ペットの医療事情

ペットには、公的医療保険制度がなく、診療費は全額自己負担となります。
お迎えしたばかりの頃は環境変化によるストレスで軟便や風邪にもなりやすいので、体調の変化に気付くことが大切です。

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ポメラニアンの飼育のポイント

太りやすいため肥満に注意

主食は栄養バランスのとれた総合栄養食を与えましょう。
1日の食事量を決め、飼い主さまがコントロールすることが大切です。
ポメラニアンは食欲旺盛のため、食事を与え過ぎてしまうと肥満になりやすい傾向があります。
子犬の頃は、栄養価の高いパピーフードを4~5時間に1回、生後10か月を過ぎたら、1日2回程度が目安です。

しつけは叱るより褒める

甘えん坊な性格のポメラニアンは、飼い主さまに褒めてもらうことが大好きです。
叱るよりも褒めてしつけるようにすれば、褒められたい気持ちから喜んでしつけを覚えてくれるようになるでしょう。
ただし、問題行動があったときは、叱らなくてはなりません。
注意をする言葉は1つに決めておくことがポイントです。
叱る場合は、何が良くなかったのか理解させるためにも、必ずその瞬間に注意するようにしましょう。

トイレのしつけ

まず、ケージ内の全体にトイレシートを敷き、ケージの中でおしっこをしたらトイレシートを新しい物に取り替えてください。
トイレの後に、ケージの外に出して褒めてあげましょう。
「トイレが成功したら、褒めて外で遊んであげる」を1セットで行うことがポイントです。
トイレ以外の場所で排泄した場合は、すぐに片付けて残らないようにしっかりとにおいを消しましょう。
ワンちゃんは場所や匂いでトイレを覚えるので、トイレの場所は変えないようにしましょう。

無駄吠えのしつけ

無駄吠えへの対処法で最も効果が期待できるのは、「無視」です。
一度注意した後は何もせず、吠えなくなるまで待ち、おとなしくなったときに褒めてあげましょう。

室内飼育のポイント

骨が細く膝関節も決して強くないため、ケガをしないよう生活環境を整えてあげましょう。
室内はできるかぎり大きな段差をなくし、フローリングの床にはカーペットやマットを敷くとよいでしょう。
また、冬の寒さには強い傾向にありますが、夏の暑さには弱いので、室内の温度管理をきちんとしてあげる必要があります。

日々のケア

運動は、日々のお散歩のほか、ケガに留意しながら室内遊びの時間を取るとよいでしょう。
歯周病予防のために歯磨きも毎日できると理想的ですが、ポメラニアンは口が小さく、少々難しいかもしれません。
口の周りに触れることに少しずつ慣らしながら、無理強いせずに取り組んでみましょう。
上手にできたら、たくさん褒めることもポイントです。

定期的なブラッシング

週2回程度のブラッシングを欠かさないようにし、抜け毛をしっかり取り除きましょう。
抜け毛を放置すると毛玉状にからんでしまうだけでなく、皮膚病や熱中症につながる可能性もあります。
日常的な抜け毛の量を減らすには、シャンプーも有効です。
特に抜け毛が多い換毛期には、シャンプーの回数を増やすとよいでしょう。
シャンプー後は被毛を濡れたままにせず、しっかり乾かしましょう。

ポメラニアンのかかりやすい病気・ケガ

子犬~成犬

膝蓋骨脱臼(パテラ)

大腿骨の溝にはまっている膝蓋骨という膝の骨が、内側や外側に外れてしまった状態です。特に小型犬では、生まれつき溝が浅かったり、膝蓋骨を支える靭帯の力が弱くて発生することが多いです。膝を曲げ伸ばしする時に痛みが出て、歩きづらくなることもあります。

環軸亜脱臼

首の1番上の骨である環椎(かんつい)と2番目の軸椎(じくつい)の間の関節がずれて不安定になり、神経を圧迫する病気です。主な原因は遺伝や外傷で、痛みから首を動かすのを嫌がったり、足のふらつきや麻痺がみられます。

脱毛症X(アロペシアX)

頭と足以外の体の毛が、左右対称に抜けてしまう病気です。はっきりした原因が分かっていないことからXと名付けられていますが、ホルモンバランスの異常が一因であると考えられています。かゆみがないことと、特定の犬種にみられることが特徴です。

皮膚炎

細菌や真菌、ダニなどが皮膚に炎症を起こします。皮膚の弱い犬種だったり、免疫力の低下や外傷から皮膚のバリア機能が落ちてしまうと、炎症が起こりやすくなります。症状は湿疹、かゆみ、脱毛など様々です。

成犬~

気管虚脱

気管が何らかの原因で強度を失って、潰れてしまう病気です。咳や「ガーガー」というガチョウの鳴き声のような呼吸音が特徴で、重症化すると気管が完全に潰れて呼吸困難になることもあります。肥満や高温多湿の環境、ストレスなどで悪化することがあります。

僧帽弁閉鎖不全症

心臓の左の部屋にある僧帽弁という扉が上手に閉じなくなって、血液が逆流してしまう病気です。主に遺伝や加齢によって起こります。軽度の場合は症状が出ないことも多いですが、進行すると運動するのを嫌がったり、咳が出たりします。
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[参考文献]
TICA(The International Cat Association)
CFA(The Cat Fanciers' Association)