マルチーズ

マルチーズ

マルチーズは、大きな黒い瞳と絹のような純白の毛並みで長い間人々を魅了してきた可憐な犬種です。
小さく愛らしい、生まれながらの愛玩犬で、家族の一員として人の心を癒してくれます。
華奢な体のため、骨折などの事故には特に注意が必要です。また、心臓の病気にかかりやすい傾向があるため、体調の変化に気づけるように、普段から様子をよく観察してあげましょう。

  1. マルチーズの特徴
  2. マルチーズにかかる飼育費
  3. マルチーズの飼育のポイント
  4. マルチーズのかかりやすい病気・ケガ

マルチーズの特徴

マルチーズの性格

マルチーズは、穏やかで人に慣れやすく、甘え上手です。
賢く、飼い主さまに対しては従順でほめられることを喜ぶため、しつけはしやすい犬種でしょう。
甘やかしてばかりだと、攻撃的になったり、無駄吠えをしたりするようになることもあるので注意しましょう。
しつけは子犬の頃から根気よく、しっかりと行いましょう。強制的なことを嫌う犬種なので、ほめながら上手にしつけましょう。

マルチーズの容姿

ボディが短く背中は水平、頭部はやや丸みをもち、耳は垂れてふさふさした毛があります。
目は暗色でブラックの縁取りがあり、両目の間隔は狭く、鼻はブラックです。長い飾り毛に覆われた尾は高い位置につき背に乗っています。
小さな顔に配置された間隔の狭い目と鼻のバランスが、愛らしさのポイントです。
しっぽは、短めの子もいれば長めの子もいるなど、個性豊かです。
冬場になると、黒い鼻が茶色やピンクになるケースがありますが「ウィンターノーズ」と呼ばれる現象です。
原因は日光を浴びる時間の減少です。病気ではなく、暖かくなれば元の状態に戻ります。

マルチーズの被毛・毛色

被毛は柔らかな直毛が特徴です。
子犬の頃はカールしていても、成長するにつれてストレートに変化します。なめらかで艶のある被毛は、絹糸を思わせる「シルキーコート」ともいわれています。
長毛種のため、地面につくほど長い毛で身体全体が覆われた「フルコート」がトレードマークですが、日頃のケアのしやすさから、短めにヘアカットされたマルチーズもよく見かけるようになっています。
毛色は純白が代表的ですが、淡い茶色や薄いレモンカラーのマルチーズも見受けられます。

マルチーズの歴史

紀元前1500年頃にマルタ島に移住したフェニキア人(現在のレバノンあたりに都市国家を築き、海洋貿易を得意とする民族)が持ち込み、一説ではアジア方面からきたと考えられています。
イソップ物語にもこの犬が書かれており、船員たちの愛玩犬であったことがわかります。
やがてシチリア島を経てヨーロッパへ紹介され、フランスでは15世紀頃から婦人の愛玩犬となり、19世紀になるとイギリスへも、もたらされました。
1813年以降にマルタ島がイギリスの属領となると、ビクトリア女王もこの犬を取り寄せて飼育し、それが一般市民に知れ渡ったことで、19世紀末には大流行し人気犬種となりました。
日本では1968年から1984年まで登録犬種のトップとなりました。

マルチーズのサイズ

個体差はありますが、体高は20~25㎝、体重は2.5kg程度です。
小型犬の中でも体が小さく、超小型犬と呼ばれることもあります。

マルチーズの寿命

およそ12~15歳とされています。小型犬の中では平均的です。

マルチーズにかかる飼育費

初期費用

マルチーズをお迎えする際には生体にかかる費用のほか、以下のような費用がかかります。

畜犬登録(3,000円前後)

ワンちゃんをお迎えしたら、お住いの市区町村に登録をする必要があります。

狂犬病の予防接種(3,500円前後)

ワンちゃんには年に1回の狂犬病予防接種が義務付けられています。

混合ワクチン(5,000~8,000円前後)

感染症を予防するための注射で、予防できる病気の数によって費用は変わります。

これらに、最初に用意するべきサークルやトイレ、食器、日用品などのグッズの費用が必要になります。

飼育費用

飼育に毎月かかる費用としては、食費、シャンプー、ペットシーツやトイレシートなどの日用品費や衛生用品などがあります。

食費(3,000~5,000円前後)


市販の犬主食用ドッグフードを与えた場合の目安となります。

日用品や生活用品(2,000~3,000円前後)

シャンプー、ペットシーツやトイレシートなどの日用品費や衛生用品などがあります。

トリミング等(4,000~8,000円前後)

マルチーズは被毛が伸びやすい犬種なので、定期的なケアも予定に入れておくとよいでしょう。

医療費

一般社団法人ペットフード協会の令和4年 全国犬猫飼育実態調査によると、医療費を含む小型犬の毎月の平均支出金額は1万3,422円です。
フィラリアやノミ・ダニの予防薬なども含め、健康であっても医療費として年間で3~5万円ほど必要とされています。

知っておきたい、ペットの医療事情

ペットには公的医療保険制度がなく、診療費は全額自己負担となります。
お迎えしたばかりの頃は環境変化によるストレスで軟便や風邪にもなりやすいので、体調の変化に気付くことが大切です。

ペット保険商品のご案内はこちら

マルチーズの飼育のポイント

ペットフードの選び方

主食は栄養バランスのとれた総合栄養食を与えましょう。
総合栄養食の中でも、マルチーズのような小型犬には、粒が小さいもの、飲み込みやすいものを選ぶのがおすすめです。
フード周りの細かな粉がフードを飲み込みにくくすることもあるので、フードに水を絡めてもよいでしょう。
マルチーズはその日の気分や体調によって食が進まないこともあり、食の細さや食べムラに悩む飼い主さまは少なくありません。
一度に量を食べられなくても、必要な栄養を摂取できるよう、肉や魚などのタンパク質を多く含んだフードを与えるようにしましょう。

定期的なブラッシング

毎日やさしくブラッシングして抜け毛をしっかり取り除きましょう。
定期的なシャンプーも行いましょう。
自然に伸ばすスタイルが基本ですが、プロのトリマーさんにお願いして、さまざまなスタイルを楽しむのもよいでしょう。
目や口の周りは汚れやすいので、湿らせて固く絞ったコットンやペット用のお手入れシートでこまめに拭いて清潔を保ちましょう。
そのままにしておくと、かぶれて皮膚炎を起こすこともあります。

充分なコミュニケーション

運動量は室内で遊ぶ程度でも足りますが、気分転換や外気浴を兼ねて、軽い散歩をするとよいでしょう。
活発で甘えん坊な犬種なので、室内でもおもちゃで遊んだり、スキンシップをとったりして、充分にコミュニケーションしましょう。

室内飼育のポイント

マルチーズが気をつけたい病気の一つに、膝蓋骨脱臼などのトラブルがあります。
滑りやすいフローリングの床を走り回っているときや、少しの段差から飛び降りることで、骨折の危険性があります。
生活スペースは、滑りにくい床材を選びましょう。同時に、大きな段差をなくす、高いところから飛び降りをさせないなどの注意も必要です。
また、小型犬は家具のすき間などの狭い場所に入り込むことがあります。
留守番をさせるときは、サークルやケージなどに入れ、安全な環境で過ごさせましょう。

マルチーズのかかりやすい病気・ケガ

子犬~成犬

膝蓋骨脱臼(パテラ)

大腿骨の溝にはまっている膝蓋骨という膝の骨が、内側や外側に外れてしまった状態です。特に小型犬では、生まれつき溝が浅かったり、膝蓋骨を支える靭帯の力が弱くて発生することが多いです。膝を曲げ伸ばしする時に痛みが出て、歩きづらくなることもあります。

皮膚炎

細菌や真菌、ダニなどが皮膚に炎症を起こします。皮膚の弱い犬種だったり、免疫力の低下や外傷から皮膚のバリア機能が落ちてしまうと、炎症が起こりやすくなります。症状は湿疹、かゆみ、脱毛など様々です。

骨折

段差や抱っこからの落下による前足の「橈尺骨(とうしゃっこつ)」の骨折が多く、猫では扉や窓に挟まれる事故の例が多くみられます。

成犬~

僧帽弁閉鎖不全症

心臓の左の部屋にある僧帽弁という扉が上手に閉じなくなって、血液が逆流してしまう病気です。主に遺伝や加齢によって起こります。軽度の場合は症状が出ないことも多いですが、進行すると運動するのを嫌がったり、咳が出たりします。

白内障

ものを見る時に焦点を合わせる役割をしている水晶体が白く濁って、視力が落ちてしまう病気です。加齢に伴って起こることが多いですが、遺伝や他の病気が原因で、若い子に起こる場合もあります。目が白く見えたり、ものにぶつかるようになるなどの症状がみられます。

皮膚腫瘍

皮膚にできる腫瘍には、良性のものから悪性のものまで様々あります。品種によってできやすい腫瘍もありますが、基本的にはどんな犬猫でも注意するべき病気です。
  • 犬種別飼い方ガイドには、アイペット損保のペット保険の補償対象外の傷病も掲載されている場合があります。
  • 補償開始日前からかかっていた傷病など、ご請求の内容により、保険金をお支払いできない場合もあります。
  • 当社のペット保険「うちの子」の保険料は、年齢と犬種によって決まります。犬種ごとに犬A・犬B・犬Cに分類されており、本ページに記載の一般的な犬のサイズとは異なりますので、ご注意ください。
    詳細は以下の犬種分類表にてご確認ください。

犬種分類表はこちら

犬種別飼い方ガイドトップへ戻る

[参考文献]
TICA(The International Cat Association)
CFA(The Cat Fanciers' Association)