猫が吐いちゃった!猫の嘔吐の原因と嘔吐物別の対処法【獣医師監修】

猫は毛づくろいでのみ込んだ自分の毛(毛玉)を吐くことがあります。
そのような習性からも、猫はほかの動物に比べるとよく吐く動物であるといえるでしょう。
日常的に吐く子の場合、具合が悪くて吐いているのかどうかの判断がしにくく、悩むこともありますが、
実は病気だったとなっては大変です。
はじめに、注意したい嘔吐についてお伝えします。
1.嘔吐物が茶色やピンクの場合は、すぐに動物病院へ
2.何度も繰り返す、下痢や食欲不振などの症状がある場合も、速やかに動物病院へ
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猫が吐いてしまう原因は?

猫の嘔吐の原因は、空腹やストレス、病気などさまざまです。
デリケートな性格の子も多く、ちょっとした環境の変化や来客、騒音などがストレスになります。
また、特に子猫では、ごはんの時間が空きすぎて空腹から吐いてしまったり、感染症や寄生虫による胃腸炎にかかったりして吐くことも少なくありません。
おもちゃの誤飲、ユリなどの植物を食べたことによる中毒、結石が詰まって尿が出なくなり体に毒素がたまってしまう尿毒症など、緊急性の高い嘔吐もあります。
さらに高齢の猫では、慢性腎臓病や腫瘍、内分泌疾患なども原因になるので注意が必要です。
便秘がちな子は、排便の際に力みすぎて吐いてしまうこともあります。
猫の嘔吐ですぐに動物病院を受診したほうがよいケース

猫が吐いたら、まずは色と嘔吐物、猫の様子を確認しましょう。
以下のようなケースに当てはまる場合は、速やかに受診することが必要です。
猫が赤茶色っぽい吐瀉物(としゃぶつ)を吐いた場合
赤茶色っぽい嘔吐物がみられた場合は、胃や十二指腸といった口から遠い部位で出血が起こっている可能性があります。
原因として考えられるのは潰瘍や腫瘍で、嘔吐が長く続く場合もあり、早めの検査が必要です。
嘔吐物だけではなく赤茶色の便が出ることもあるので、あわせて確認してみましょう。
猫がピンク色の嘔吐物を吐いた場合
薄いピンク色の液体を吐いた場合は、歯周病や腫瘍など、口の中からの出血が混じっているかもしれません。
また、心臓病によって血液の循環が悪くなると、肺の中に液体がたまって呼吸困難などを引き起こす、肺水腫という状態になってしまうことがあります。
このときにも、薄いピンク色の嘔吐物がみられたり、泡混じりの液体が鼻から出たりすることがあります。
肺水腫は命に関わる危険な状態なので、すぐに対処する必要があります。
猫が何度もくり返し吐いている、毎日吐いている場合
嘔吐の回数が多い場合は、腸閉塞や慢性腎臓病の可能性があります。
腸閉塞は誤飲したおもちゃや毛玉によって起こり、嘔吐物は便のようなにおいがすることがあります。
また、加齢によって腎臓の機能が低下したり、結石などにより排尿ができなくなったりした場合には、体に毒素がたまる尿毒症という状態になることがあります。
尿毒症では嘔吐以外にも、口臭がきつくなったり、元気や食欲がなくなるといった症状がみられます。
猫が吐いた後も元気がなく食欲もない
嘔吐と同時に元気や食欲の低下がみられる場合は、消化器系の腫瘍や胃の通過障害が考えられます。
また、ストレスで胃の動きが悪くなっている場合も、元気や食欲がなくなることがあります。
全身の状態が悪くなるような腫瘍では体重も徐々に減少していく傾向があるので、定期的に体重測定をしてあげることで病気を早期に発見できるかもしれません。
猫が吐いてしまって下痢もしている
突然の嘔吐と下痢がみられる場合は、中毒の可能性を考える必要があります。
ネギ類やチョコレートなどの食べもの、ユリやシクラメンなどの植物は、猫に中毒を引き起こします。
特に免疫力の十分でない子猫に激しい水下痢と嘔吐がみられたら、パルボウイルスの感染の可能性があります。
さらに、だらだらと続く嘔吐や下痢がみられる場合は、腸に慢性的な炎症が起こっていたり、膵炎を起こしていたりするかもしれません。
猫の吐瀉物(としゃぶつ)の中に虫がいた
主に猫回虫という寄生虫が寄生している場合に、嘔吐物や便の中に虫体が排出されることがあります。
猫回虫は白くて細長い寄生虫で、猫では小腸に寄生して下痢や体重減少を引き起こします。
回虫は人にも寄生することがあるので、発見した場合は早期に治療するようにしましょう。
緊急性は高くないが注意したい嘔吐の原因と家庭でできる対策

嘔吐物の色や内容によっては、家庭で対策が可能なケースもあります。
あわてずに、猫の嘔吐物をよく観察するようにしましょう。
猫が毛玉を吐いた場合
猫の舌にはヘアブラシのように小さな突起がたくさんあり、グルーミングの際に抜け毛を絡めとることができるようになっています。
グルーミングでのみ込んだ毛は、通常であれば便と一緒に排出されますが、量が多すぎると胃の中でボール状になってしまい、毛玉となって吐くことがあります。
特に長毛種は毛量が多く、毛が生え変わる春と秋には抜け毛が多くなる傾向があるので、こまめにブラッシングをしたり、毛玉が排出されやすくなるフードやサプリを与えたりして対処しましょう。
あまりにも吐く回数が多い、吐きたそうなのに吐けない場合は、毛玉が詰まっている可能性もあります。
すぐに動物病院を受診することをおすすめします。
猫が黄色い液体を吐いた場合
嘔吐物が黄色っぽい液体であった場合は、胆汁が胃に逆流している可能性があります。
胆汁の働きは脂肪の消化を助けることです、ビリルビンという黄色っぽい色素を含んでいることが特徴です。
肝臓でつくられてから胆のうで保存され、必要なときに十二指腸に分泌されます。
しかし、何らかの原因で胃の動きが悪くなると、腸に流れるはずの胆汁が逆流し、吐くことがあります。
胃の働きは、空腹の時間が長すぎたり、ストレスがかかったりすると悪くなることもあります。
ごはんの回数を増やす、ストレスの原因を取り除いてあげましょう。
猫が透明の液体や白い泡を吹いた場合
白い泡が混じった透明の液体を吐くときは、空腹による胃液の可能性があります。
吐いた後にぐったりしている、食欲が落ちていない場合は、ごはんの間隔を短くしたり、食事と食事の間におやつをあげたりしてみましょう。
ただ、お腹を空かせているからといって、吐いた後すぐに大量のごはんをあげると胃がびっくりしてしまいます。
様子をみながら少しずつあげるようにしましょう。
おもちゃなどの異物を飲み込んでしまい、胃の不快感から吐くこともあるため、場合によっては早めの対処が必要です。
心当たりがある場合はすぐに動物病院を受診することをおすすめします。
猫の嘔吐物に血が混ざっている場合
鮮やかな赤い血が混ざっている場合は、口の中や胃、食道といった、口から近い部分で出血が起こっていると考えられます。
口内炎や歯周病、口の中の腫瘍、胃炎や食道炎による粘膜の炎症、おもちゃなどの異物を飲み込んだ際に粘膜が傷ついたりすることが出血の原因です。
口を触らせてくれるようなら、口の中を観察して出血が起こっていないか確認してみましょう。
口から遠い部分で出血が起こっている場合には、血液が変色して赤茶色の血が混じることもあります。
また、心筋症など心臓の病気によって全身の血液の循環が悪くなると、肺水腫が起こって血混じりの液体を吐くことがあり、早めの対処が必要です。
愛猫が吐いたときにすべきこと

愛猫が吐いたときにまず心がけたいポイントは、以下の3つです。
- あわてずに落ち着く
- 嘔吐物の色や内容物を確認し、写真やメモに残す
- 吐いた後の猫の様子をよく観察する
これを踏まえ、猫が吐いたときの対処法を時系列にそって説明します。
1. 嘔吐前に何かしらの前兆はなかったか振り返る
猫が吐く前には「食欲が落ちる」「水を多量に飲む」「動かずにうずくまる」「頻繁に舌なめずりをする」「口をくちゃくちゃと動かす」「吐こうとして“カッカッ”という乾いた音を出す」という前兆がみられることがあります。
不調のサインともいえる症状なので、思い当たることはないか振り返ってみましょう。
2. 嘔吐物の観察や状況の確認
猫を落ち着かせて安全な場所に移動させてから、嘔吐物の内容や色をよく観察しましょう。
写真に撮ったりメモを取ったりするほか、吐いた回数、間隔、吐いた後の様子(元気があるかぐったりしているかなど)も記録しておくと受診の際に役立ちます。
3. 受診の必要性の判断
嘔吐物が毛玉、未消化のフード、猫草、透明の液体や泡の場合は、猫が落ち着いているようであれば少し様子を見てもよいでしょう。
嘔吐物が赤茶色やピンク色をしている、異物が混ざっている、いやなニオイがする、下痢や発熱、ぐったりしているといった症状が出ている場合は、速やかに受診の準備をしてください。
4. 安心してよい判断の目安
受診した場合でもしていない場合でも、愛猫が食事や水をとり、いつものように遊んだり甘えたりしている、排泄物にも異常がないということが確認できれば、もう大丈夫と判断してよいでしょう。
ただし、一時的に体調が回復しているだけかもしれないので、数日間は猫の様子をしっかり観察し、記録も取っておくと安心です。
猫の嘔吐に関するよくある質問
猫が嘔吐しても、ある程度の知識があれば冷静に対処ができます。
多くの飼い主さまが疑問に思うことの回答をまとめました。
猫が異物を誤飲した場合の嘔吐の特徴は?
何を誤飲したかにもよりますが、一般的に猫が異物誤飲をしたときには「食欲不振」「嘔吐の繰り返し」のほか、ウエッウエッと何かを吐き出そうとする「えずき」「呼吸困難」などの症状がみられます。
異物誤飲には中毒や消化管閉塞のおそれもあるので、気づいたらすぐに受診しましょう。
猫が吐いた後も元気な場合、心配しなくても大丈夫ですか?
症状が嘔吐のみで、元気に遊んだり食事がとれたりしているのであれば、過度に心配する必要はないでしょう。
ただし、「元気はあるけれど、何度も体の一部を気にしている」など、飼い主さまにとって気になる様子がみられる場合は経過を観察し、場合によっては受診すると安心です。
猫が吐くのを予防する方法はありますか?
完全に予防できる方法はないのですが、定期的にブラッシングをして抜け毛を取り除く、毛玉対策できるフードを取り入れる、定期的な健康診断を受ける、誤飲につながるものを置かないなど、日常的なケアで吐く頻度を減らすことはできるでしょう。
食事の変更や食べすぎが原因で猫が吐くことはありますか?
猫の体質に食事内容が合わないと、消化不良やアレルギーを起こし、吐くことがあります。
原因となるフードや食材を特定し、それを含まない消化に良い療法食や除去食に切り替えて様子を見ましょう。
また、早食いや食べすぎも嘔吐の原因です。
早食いや食べすぎは、防止用の食器や自動給餌器でも対応できるので、必要があれば検討してみましょう。
猫の嘔吐で動物病院を受診する際、持参した方がよいものはありますか?
必須というわけではありませんが、できれば直近の嘔吐物を採取し、持っていくと、獣医師にとっては診断の参考になります。
現物が難しい場合は、嘔吐の状況がわかる動画や写真を撮影して持参してもよいでしょう。
猫が吐いたときはよく観察し適切に対処しましょう
猫は、吐くことの多い動物です。
しかし、「うちの子は普段からよく吐くから」と放っておくと、その裏にある病気を見逃してしまう心配があります。
嘔吐物をよく観察し、必要な対処を心がけましょう。
受診の際は、飼い主さまの情報が手がかりになります。
嘔吐物や写真を持参し、吐いた回数や頻度、吐いた後の様子やほかの症状を伝えると、診察がスムーズです。
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